参照標本作製、同定業務、資料作成などいろいろな作業を並行していますが、ちょっと気合が足りないと疲れてしまうのが原図作製です。
分類をやっているので、自身の研究論文に掲載する原図はそんなに疲れないのですが、今やっているハエ目の翅脈相の原図は1枚で終わってしまうことも多々あります。年なので目の疲れも出てきます。翅脈とは膜状の翅を強固にするためのもので、凧のホネと考えてもらえればいいでしょう。翅脈相とはどのように脈が走っているか(配置されているか)を示したものです。
ハエ目の分類は、剛毛配列や翅脈相とその他の形態を併せて同定のポイントとなっているので、重要なのです。翅脈は翅の胴体側にある翅底骨(第1~第3まであります)と呼ばれる骨片由来のもので、それぞれ名前がついています。脈の名前で説明をするのは困難なので、図にした方が楽なので書いています。
他の昆虫では、特に微小な昆虫になると、膜質部が少なく翅脈を少なくし、縁毛を長くする傾向があります。アザミウマやコバチ類などを思い浮かべて貰うといいでしょう。微小な昆虫は空気の抵抗が水アメの中を泳ぐような粘度になるそうです。ですから、なるべく小さい翅で舟のオールのように動かしているといわれています。何か面白い研究ポイントがあるかもしれません。