少し寒さが戻りましたが、以前ほどの寒さではないのでまだましですが。
今日はジュズヒゲムシ目 Zoraptera です。この目は日本では確認されていないグループで、おもに熱帯~亜熱帯に分布しています。八重山諸島にはいるんじゃないかといわれ続けてますが、その生態などについては分からないことが多く、未だ発見されていません。熱帯地方ではジャングルの樹皮下などから得られることが分かり、熱帯に行った人はよく採集をしています。私も大学院時代にボルネオ調査に出かけたときに、たった1個体だけですが採集したことがあります。その後はインドネシアでも採集することが出来ましたが、標本にすることが難しく、写真のようになってしまいました。
ジュズヒゲムシ目は名前の通り、触角が数珠のようになっています。学名は純粋に翅のない昆虫という意味です。現在39種と9化石種が確認されているに過ぎない小さなグループです。ただ、アブラムシのように翅を持ったものも出てくることがあり、その翅の形態から他目との系統関係が論じられたことがありますが、はっきりとしたものではなく、多新翅群 Polyneoptera に属することが分かっています。分子系統解析が発達してきているので、‘bush’ から抜け出せるかもしれません。‘bush’というのは、不完全変態群は系統関係がはっきりせず櫛歯状の系統関係となり、その系統樹が草むらのように見えることから、こう呼ばれています。
化石が時代ごとに大量に残っていれば、推察は簡単なのですが、それが無いので面白い分野だと思っています。