このブログに更新するための標本写真などがだいぶ溜まってきました。でも話のネタになるのは少なくなってきたので、家から標本を持参したり、もうちょっと写真をとる作業を増やさないと・・・。今日は無理やり「芸術の秋」にちなんでバイオリンムシ Mormolyce phyllodes HagenBach, 1825を紹介します。
バイオリンムシは東南アジア(マレーシア・タイ・インドネシアなど)に分布する奇妙な形をした昆虫で、本種のほかに4種が知られ、ホソクビバイオリンムシ Mormolyce hagenbachi Westwood, 1862(写真2)やマルクビバイオリンムシMormolyce castelnaudi Deyrolle, 1862(写真3)などがいます。形がバイオリンに似ているので名づけられましたが、横から見ると平べったくなっています。こんな形でも実は飛べるという話もありますが、実際には見ていないので、何ともいえません。
本種はジャングルの中でサルノコシカケ類と、それに来た昆虫やキノコを食している甲虫やハエの幼虫を捕食するので、このような形になったと考えられています。サルノコシカケ類はBracket fungiと呼ばれ、幾重にも重なるように生えていますので、キノコの間に潜むにはぴったりです。私の知り合いの先生は、ボルネオ島に行ったときに、夜中にジャングルに入り、これを探したそうです。野生動物がいますので、すごい恐怖を感じたそうです。でも、こういうことをしないと採集できないんですね。