今日一日はぐずついた天気のようで、こういうときは標本を調査するのはいやですね。
今日紹介する虫はチャイロスズメバチ Vespa dybowskii Andre, 1884です。日本のスズメバチの中で特異な斑紋パターンを示すので、すぐに同定が出来ます。生活も他のスズメバチとは違い、女王がキイロスズメバチやモンスズメバチの巣に侵入し、女王を殺して巣を乗っ取り、働きバチに自分の幼虫を育てさせます。
北方系の種らしく、中部以北に生息するとされていましたが、2000年以降各地で発見されており、中国地方の鳥取県・岡山県まで分布するようです。また岡山県東部の山間地での営巣が確認され、これが営巣の南限とされています。
私も採集したのは箕面の山の中で、樹液に来ていたものを採集しました。このときにはクワガタやカブト、オオスズメバチもいたのですが、それらをそっちのけで採集してしまいました。このことは大阪市立自然史博物館友の会の会誌「Nature Study」に掲載されています。私の採集品を害虫だけ選んで持ってきていますが、大学に保管してあるものも移管しなければ、と思ってます。そんなにないですけど。