昆虫の分類23

昨日は雨が降らないうちに、と思っていたら今日出社するまで降りませんでした。良かった。今はパラパラと降っているようです。低気圧が発達しているということですが、春の嵐にならなければいいですね。

今日からお話はカメムシ目 Hemiptera に入ります。学名の意味は「半分の翅」という意味です。一昔前はセミなど翅が一様に膜質なものを同翅目 Homoptera 、いわゆるカメムシとされる翅の基部半分が硬化し残りが膜質になっているものを異翅目 Heteroptera の2つに分けられていました。その後の研究で同翅目は側系統群となってしまうことから、1つのグループにされ、Hemipteraが支持されることになりました。

テイオウゼミとアブラゼミカメムシ目はかなり大きなグループで、ヨコバイ亜目とカメムシ亜目の2つに分けられます。さらにヨコバイ亜目は3つの群に分けられ、各々の種数はBeutel et al. (2014) の「 Insect Morphology and Phylogeny」によると、頸吻群(セミ・ヨコバイなど) Auchenorrhyncha が45,000種、腹吻群(アブラムシ・カイガラムシなど) Sternorrhyncha が16,400種、鞘吻群(日本に分布しない群)が36種、カメムシ亜目は約40,000種が記載されています。今日はこの中の頸吻群についてお話します。

頸吻群は農業害虫も含まれており、病原体などのベクターとして重要視されています。過去にはウンカが日本の凶作の原因だとして、大蔵永常が文政9年(1826)に著した「除蝗録(前編)」があり、日本最初の害虫防除や農薬についての記述がされた農書があります。大蔵はこの中で鯨油を散布することを説いており、弘化元年(1844)に、鯨油を手に入れられない地域ではカラシ油や桐油、魚油を散布することを「除蝗録(後編)」で説いています。

ユカタンビワハゴロモセミは古くから日本では親しまれており、俳句などにも登場しますが、外国ではコオロギなどと同様に「騒音」でしかなく、案外嫌われ者のようです。中でもテイオウゼミ Megaomponia imperatoria (Westwood, 1842) (写真右)は東南アジアに生息する世界最大のセミですが(頭部から翅端まで130mmほど)、鳴き声というよりは金属を削るような音みたいです。

ユカタンビワハゴロモの頭部写真2はユカタンビワハゴロモ Fulgora laternaria (Linnaeus, 1758) です。これも有名な南米の同翅類ですが、奇妙な形の頭には泡が入っているとされています。昔はこの頭が光るともされていました。ちなみに英語ではPeanut bugと呼ばれているみたいです。頭を横から見たとき(写真3)の様子から名づけられたのでしょうかね。

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