みえむ

20150819091743 20150819091743-2

残暑が続きますが、今朝は少々過ごしやすかったと思います。

さて、先日私は三重県立総合博物館「みえむ」にパラタクソノミスト養成講座の講師としていってまいりました。北海道大学総合博物館の先生と共に子供から大人まで、甲虫の分類方法を教えてきました。特に子供たちは難しい勉強も楽しくやっていたように見えて、将来の昆虫学者がいそうな雰囲気でした。

三重県立総合博物館にあるものと、北海道から持参された標本を元に、甲虫の分類を行い、整理していくというものです。写真1は整理された北海道のオサムシ科で、本州では見られないオオルリオサムシなどがあり、受講者たちは喜んでいました。

パラタクソノミストとは、「準分類学者」という意味で、海外での博物館における学芸員不足により、ボランティアで整理をする方々のことを指します。今回講師をされた先生と私が北大で始めましたが、日本でもこういった方々を養成しようとという目的でやっています。北海道では先鞭をつけた北大で多く行われていますが、それ以外はあまり行われていないのが現状です。我々の方法を一度見せて、それ以降は各博物館で行っていただけるとありがたいのですが、それぞれの専門や人員不足などにより二の足を踏んでいるところが多いのかもしれません。

日本の博物学に対する認識が海外と同様になればいいのですがねぇ。

あ、ちなみに写真2は三重県立総合博物館で飼育展示されているヨロイモグラゴキブリです。普段は土の中に潜ったままで、交尾の時期になると地上に出てくる珍しい種類ですよ。

LINEで送る

投稿日:

いよいよ明日

20150805113454

連日の猛暑日ですが、体調管理を心がけて熱中症にならないようにお気をつけください。

日曜・月曜と昆虫教室の講師として講演してきました。日曜日の方は大阪府営公園での親子での教室でした。昆虫の進化や形について話してきました。夏休みの自由研究にするということで、多くの子供たちが質問をくれました。一応自分で考えるような回答をするように心がけましたが、小さいお子さんもいらっしゃったので、判りやすいように答えを出してしまいました。自分で調べることが重要なのですが・・・。

月曜日は大阪能勢にある施設でのキャンプに参加してきました。写真はそのときに昆虫観察会で見られた樹液の出ているクヌギに来ていたカナブンとアオカナブンです。残念ながら子供たちが期待していたカブトムシ・クワガタムシは観察開では見られませんでしたが、前日に子供たちは採取していたようです。しかし、採集できなかった子供たちは、小学校低学年が多く、どこに行ったら取れるの?といったような質問をするので、ポイントを教えることは出来ませんが、どういう環境で採れるかと言うことを教え、自分で探すように言いました。経験をしないと解らないこともあるのです。何か職人さんのような気分になってしまいました。

こういう忙しい日々を過ごしていると、いよいよ明日になってしまいました、毒物劇物取扱者試験!

法規や基礎科学の勉強をしていると気体の状態方程式・ヘンリーの法則・ドルトンの法則など懐かしいものなどが出てきましたが、実地が少し自身がありません。呪文のような化学物質の名前は高校・大学時代にはあまり出てこず、しかもその識別や処理方法など覚えることが盛りだくさんだったので、明日その覚えたことがきっちり出てくるのかが不安です。

そのあとは三重県の博物館で講義を2日間行います。これが終われば少しゆっくり出来るのかなぁ、と思いながら今日もがんばります!

LINEで送る

投稿日:

コクゾウムシ

20150729103212

大阪では夜の間に雨が降ったみたいで、道が濡れていました。朝から蒸し暑くなっています。

一昨日、よる子供たちと居間にいると手首に何かが止まりました。蚊でも飛んできたのかと思って見てみると、コクゾウムシでした。思わず台所に飛んで行って、米びつの周辺を捜索しました。

お米の中に黒いものは無し、一安心です。我が家で発生したものではなくて外部からの侵入でしょう。それにしても走光性を持ってたかどうか忘れてしまいました。生かしたまま会社へ持ってきて、とりあえず飼育・観察してみようと思っています。

他のコクゾウムシ類の生体もしくは標本が手に入れられたらなぁ。

LINEで送る

投稿日:

展足中3

20150725093111 20150725093111-2 20150725093111-3

朝からギラギラと太陽が輝いています。高温注意情報が出ていますので、体調管理とこまめに水分・塩分を取るのを忘れないようにしましょう!

さて、最近になってようやく残りの大型甲虫の展足が終わりました。ヘラクレスオオカブト、ゾウカブト♀、その他クワガタなど・・・。大きい発泡スチロールを使っているのですが、大型甲虫なので6頭ぐらいしか載りません。普通の甲虫であれば20匹以上は載ります。

しかし、これらの乾燥が終わると標本箱に入れなければならないのですが、高さがありすぎて普通の標本箱には入らないのです。普通の箱だと、ヘラクレス、ネプチューン、アトラス、コーカサスなど口の上から突出している角が当たる場合がほとんどです。そのため、下の角がゆがんで変な形になってしまいます。最悪、折れることもあります。

こういう大型の甲虫は通称「深箱」と呼ばれる標本箱を調達せねばなりません。最近お目にかかることが少ないので、今売っているところはあるのでしょうか。調べてみないと。

LINEで送る

投稿日:

小豆象虫2

20150724112546 20150724112546-2 20150724112546-3

今日も暑いですね。室内でも熱中症にかかるので、お気をつけください。

さて、今日は昨日の続き。アズキゾウムシは貯蔵アズキの大害虫ですが、アズキの表面に付いた白い小さいものが卵です。観察をしていると表面は割れていないので、ふ化した幼虫は付着面から直接アズキに侵入していきます。

その中でどんどん食害していき、アズキ内で蛹になり、羽化するときには、アズキの表面を裏から丸く切り取り、脱出してくるのです。被害アズキ群の底の方には、丸いフタのように切り取られたアズキの表面がいっぱいありました。カミキリムシみたいです。

会社を休んでいると被害アズキと成虫を入れておいた袋が丸く穴を空けられていました。袋を二重にしていたので、脱出は出来ていませんでしたが、脱出していなくてよかったです。

生態を調べるために、いろいろな害虫を飼育してみたいのですが、拡散させないような飼育容器や飼育体制が必要ですね。

LINEで送る

投稿日:

小豆象虫

20150723100722 20150723100722-2 20150723100722-3

久しぶりにこのコーナーを書きます。今日の大阪は梅雨明けしたとはいえ、台風12号の影響で大雨です。温度は高くないのですが、湿度が高くて少しうんざりです。

先週、社長が「アズキゾウムシを引き取ってきたのであげる」と仰ったので、ありがたく頂戴しました(写真1)。比較的飼育が簡単なので、研究室で実験用として、よく飼育されている甲虫・害虫です。

有名な貯蔵アズキの大害虫で、アズキを保存していたご家庭では、1度は発生させたことがあるかもしれません。オスとメスは触角の形状が異なることで区別できます。オスはノコギリの歯のような鋸歯状(写真2)、メスは櫛のようになっている櫛歯状(写真3)となります。

昔はマメゾウムシ科 Bruchidae という独立の科だったのですが、これまでの研究によりハムシ科の1亜科にされています。成虫の形態などからゾウムシに近縁だと考えられて名づけられたと思いますが、幼虫の形態を含めて総合的に判断されました。和名は日本でのみ通用するものなので、ルールなどはありませんが、学名は国際的に通用するということで「国際動物命名規約」というものが制定され、今は第4版が効力のあるもとされています。これは動物だけで、植物や細菌類にもそれぞれ国際規約が制定されています。

第4版からは各国の言語に翻訳されたものも効力があるのですが、それまではフランス語と英語でした。見開きで左ページにフランス語、右ページに英語で記載されていました。ですから2つの言語を翻訳して誤訳が無いように注意していたのですが、日本語版が出版されて楽になりました。これ自体に誤訳や、私自身の解釈の誤りが無ければの話ですが・・・。
興味がある人は一度読んでみて下さい。ちょっと難しいですよ。

LINEで送る

投稿日:

アリバチ

20150703091638

昨日作成したこのコーナーの記事がありません。昨日確かにアップしたと思ったのに・・・。どうなってるんやろ。間違えてキャンセルしてしもたんやろか。

昨日の夕方に社員の方から「虫を捕ってきましたよ。」といわれて、いただきました。ムネアカオオアリに似ていますが、触角の形状が異なるなど、細かく見るとアリではなくアリバチの仲間です。アリバチ類はこれまでに2回ぐらいしか採集したことが無く、偶然で採集してました。ちょっと探しに行ってみようかな。

翅のあるオスを採集したことが無いので、ぜひ採集してみたいグループです。私の知り合いにこのグループも好きで、海外に行ったときに海岸で木の枝を立てておいたら、そこにパラパラとやってくるので、ずっとそこで待ちながら採集していたという話を聴きました。

採集した環境は、大体が砂地のある場所で、河川敷や海岸などの付近が採集ポイントになるのでしょう。同定のための文献は日本蜂類同好会会誌「つねきばち」や図鑑などに掲載されていますが、それを持っていないのが残念です。知り合いのところで調べてみようと思います。

LINEで送る

投稿日:

閻魔虫2

20150627181843

昨日はエンマムシを紹介しましたが、今日もその続きです。

エンマムシの中には、体型で名前が付いているものが多く、ツツエンマムシやヒラタエンマムシツブエンマムシなどがあります。当然、エンマムシという名前もあります。エンマムシ類は死体や動物の糞などで見られますので、森の分解者でもあります。この様子が「閻魔様」につながったと考えられています。

写真がエンマムシで、真っ黒で色彩の特徴はありません。鞘翅にある背条を見ると近縁種と区別することができます。

他にもアリクイエンマムシというのがいて、アリの巣にいてバリバリとアリ成虫を食べているそうです。札幌の円山公園で丸山さんが見つけたという種で、1999年に記載されました。せっかく札幌にいたのに、一度も見たことがなく採集もできていない・・・。

LINEで送る

投稿日:

閻魔虫

2015062718001020150627180010-2

今日の話題はエンマムシにします。北大時代にお世話になった先生がエンマムシの専門家であり、今のところ日本で唯一の研究者ではないでしょうか。

少しかっこいいと思っているのがヒラタエンマムシ類と(写真1、オオヒラタエンマムシ)とセスジエンマムシ類(写真2、コセスジエンマムシ)です。

オオヒラタエンマムシは普通に見られる種ですが、ヒゴヒラタエンマムシやヒラタエンマムシは見たことがありません。お世話になった先生は日本エンマムシ類の記録を集めていらっしゃいます。その増加に貢献しようとしてますが、まだまだですね。

セスジエンマムシ類は背面の彫刻が非常に秀逸なので好きな種類の1つです。アリの巣で見つかるものもいて、見ていると巣穴から少し出てきてまた戻る、という行動をしているそうです。つまりアリの巣を座ってじっと見ていなければわからないのです。

せわしなく行動していることが多いので、そんなゆったりした時間を過ごしてみたいですね。

LINEで送る

投稿日:

クサカゲロウ

20150627174955 20150627174955-2

今朝、家を出るときには晴れていたのですが、会社に来ると雨が降りそうなくらい曇っていました。その後は蒸し暑く一陣の風が吹くと気持ちがよい一日でした。

今日はクサカゲロウを少し調べていました。今のところ頼りになるのは、以前ご紹介した文献のみ。これを使って同定を始めましたが、結果は同定できず。いろいろと違う部分があり、属も不明ということになりました。色彩変異はどの程度までなのか、いっぱい標本を見ないといけませんね。

翅の横脈が黒ければApterochrysa kichijoiだったのですが、写真のようにあまり黒くならず、当てはまりませんでした。
顔面は同じ状態だったのですが・・・。

やはり昆虫の世界にはまだまだ興味深いところがいっぱいあります。

LINEで送る

投稿日: