宝石2

昨日の予想通り、今朝は寒くて凍えそうでした。インターネットの天気情報には「冬将軍到来!」と書いてあり、出勤時がつらい日が続きそうです。

ヒスパヌスコガネオサムシ昨日は「歩く宝石」ということで、日本産のオオルリオサムシを紹介しましたが、今日はヨーロッパのものを少し紹介します。写真1枚目はヒスパヌスコガネオサムシ Carabus hispanus Fabiricius 1787です。南西フランスに分布しています。これも昨日のオオルリオサムシと同様に色彩が異なるものがいます。写真2枚目はルーティランスコガネオサムシ Carabus rutilans Dejean, 1826です。こちらは分布が広くアンドーラ公国、スペイン、フランスに分布しています。色彩が異なるものがいます。色彩によって、過去にはいろいろな亜種に分けられている種も多く、オサムシ図鑑などを見ていると同種かとルーティランスコガネオサムシ思うぐらいの色彩変異があります。

オサムシの仲間は、後翅が退化して地上を徘徊するものがほとんどです。これらを真正オサムシ群と便宜的にしていますが、地上を動き回りミミズなどを捕まえて食べています。

これらの標本を見ていると集めたくなる気持ちも分からなくもないです。しかし、狭い我が家では保管場所が・・・。

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宝石

今朝はすごく寒かったですね。明日はさらに寒くなるのでしょうか。出勤時が日の出前なのでちょっと不安です。

オオルリオサムシさて、今日から自分の研究しているコウチュウ目のことについて何回か書いていこうと思っています。甲虫類は世界で37万種が記載されていて、今のところ昆虫の中で一番種数が多いグループです。他のグループの研究が進めばどうなるかはわかりませんが、とにかく大昔から人気のあるグループです。その中でも「歩く宝石」といわれ、高値で取引されていたのが金属光沢を持ったオサムシです。日本には北海道だけに生息しているオオルリオサムシ Carabus gehinii gehinii (Fairmaire, 1876)は甲虫研究者が北海道に行くと必ずと言っていいほど採集してきます(季節はありますが)。

オサムシは飛ばない甲虫なので、地域ごとに変化に富んでいることが多く、このオオルリオサムシも地域によって色彩が異なったりします。山岳や川、谷などが障壁(バリアー)となって他の地域個体群との交流が断絶し、種分化が進んだと考えられています。ですからヨーロッパや中国などユーラシア大陸に行くとさまざまなオサムシがいて、その中には金属光沢を持ったオサムシも豊富に存在します。種小名も「金色に輝く」とか「宝石」を意味するラテン語・ギリシア語が多く使われています。

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あと半月

2015年12月カレンダーいつもご愛顧ありがとうございます。株式会社ハウスドクターの年末年始の休業日をお知らせいたします。休業日は平成27年12月29日(火)~平成28年1月4日(水)までとなっております。この間は電話をお掛けいただいても出ることが出来ませんので、ご了承ください。

また年末に近づきましたら、再度お知らせしようと思っています。

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小蛾類2

朝からどんよりとした空模様です。夕方から雨ということらしいですが、家に帰るまで降らなかったらいいのになぁ、と思ってます。さて今日も小蛾類の話題ですが、来週からはちょっと違ったグループに変えたいと思いますので、今日はお付き合いください。

ギンマルバネスガ2写真1枚目はマルギンバネスガ Thecobathra anas (Stringer, 1930)です。スガ科に属します。5月ごろ、河川敷の観察会イベントで採集しました。幼虫はクリやクヌギ、コナラを食します。成虫は4月~10月まで見られるようです。一見白い翅ですが、顕微鏡などでよく見るとうっすらと銀色に見えます。個体によって前翅に褐色の小点を供えることもあります。

ウスイロクチブサガ写真2枚目はウスイロクチブサガ Ypsolopha parenthesellus (Linnaeus, 1761)です。クチブサガ科に属し、幼虫はクヌギやコナラ、サワシバを食します。5月~10月に見られます。私は里山的環境や山地で採集をしています。クチブサガ類はもともとスガ科に属していたみたいですが、最近では分ける体系が支持されています。

カラカネホソハマキモドキ最後はカラカネホソハマキモドキ Glyphipteryx gamma Moriuti et Saito, 1964です。ホソハマキモドキガ科に属し、6月~7月に山地で見られます。幼虫が何を食しているかは解明されていません。結構複雑な斑紋をしていますので、記載するときにはどのようにしたのか気になるところです。記載したのは私の先生や先輩なので、論文を見てみようと思います。

今回で小蛾類関係のトピックは小休止にします。よくチョウ類がきれいでガは汚いといわれますが、チョウよりもきれいで複雑な斑紋に魅了されてしまいます。皆さんもよければ観察してみてください。

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小蛾類1

昨日は家の近くで火事があり、消防車5台、救急車1台、パトカー2台とさらにヘリコプター1台が来て騒然としていました。もう1台報道用のヘリコプターも飛んでました。一致団結して消火にあたる現場を目の当たりにし、やっぱり凄いな、と感じてしまいました。無事鎮火し、けが人もなかったようなのでひとまず安心です。小学校も近くにあるので、うちの子供たちは少し学校で待機、その後先生付き添いの集団下校となりいつもより遅くなってました。

ベニモンマイコモドキ2今日の話題はちょっときれいな小蛾類です。写真1枚目はベニモンマイコモドキ Pancalia hexachrysa (Meyrick, 1935)。カザリバガ科に属する種です。カザリバガ科は銀色の線が入っているものが多く、きれいな小蛾類として人気のある蛾です。ただ外見だけで見分けるのはある程度慣れないと無理で本種のように目立った斑紋を持つものは楽です。

オビマイコガ2写真2枚目はオビマイコガ Stathmopoda opticaspis Meyrick, 1931です。これはニセマイコガ科に属するもので、サクラやフトリュビゴケを幼虫が食します。6~9月に出現します。これは斑紋が特徴的なので、すぐに分かるかと思います。もう少し前翅と後翅を前方に上げて標本を作成すればよかったのですが、カザリバガ科やニセマイコガ科、ホソガ科などは後翅が細いので難しい時があります。体調にもよりますが。

最近は老眼が入ってきているので、小蛾類の展翅は午前中にやることが多いです。夕方になると疲れ眼も入り、うまく作成できなくなってしまいました・・・。

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ヒゲナガガ類3

今日はよい天気で寒さも和らぎ気持ちのいい朝でした。さて、今日もヒゲナガガ類の話題です。

ホソフタオビヒゲナガ♂写真1はホソフタオビヒゲナガ Nemophora trimetrella Stringer, 1930のオスです。他のヒゲナガガ類と同じように5月~6月に出現しますが、これは山の方でしか見たことがありません。幼虫の食餌植物もわかっていないようで、出現時期によく調査をしないといけないのですが、一時期だけなので調査は難しいようです。

ホソフタオビヒゲナガ♀写真2はメスです。何かおかしいように見える方は正解です。実はこの個体、学生時代に研究室で後輩に標本箱を落とされ、後胸部分から脱落してしまいました。小さな蛾類は衝撃を与えられてしまうと、腹部だけ紛失して、種の同定を困難にしてしまうことがあります。気をつけないといけません。まだ前翅の斑紋でわかるものはいいのですが。

他にもギンヒゲナガやミドリヒゲナガ、コンオビヒゲナガなど、美麗種がそろったグループなので、集めていきたいと考えています。その他の小蛾類もきれいなものがいっぱいいますよ。次回からも少し小蛾類についてお話ししたいと思ってます。

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ヒゲナガガ類2

 

最近は自分の文献を持ち込んでいるので、机の上が山積みになっている状態です。なんとかしないと。

クロハネシロヒゲナガ♂クロハネシロヒゲナガ♀

今日もヒゲナガガ類です。写真1、2枚目はクロハネシロヒゲナガ Nemophora albiantennella Issiki, 1930のオスとメスです。この種は街中では見ることは余りありませんが、淀川の上流(いわゆる三川合流地点)や北摂山地でも見ることが出来ます。この種類も生態があまり分かりませんでしたが、私の大学の同期によって新知見が得られた種類です。光の加減によって翅の見え方が異なります。

ホソオビヒゲナガ♂ホソオビヒゲナガ♀2写真3,4枚目はホソオビヒゲナガ Nemophora aurifera (Butler, 1881) のオスとメスです。これは私も山の方でしか調査していないので、山地でしか見ていません。翅の模様も拡大してみると非常にきれいです。

ヒゲナガガ類は飛翔するときにはフワフワと飛んでいます。ですから成虫を捕まえるのは容易いのですが、幼虫やポータブルケースを採集するのは少し難しいようです。また交尾するためにオスが群飛していることが知られています。蚊柱と同じだと思うのですが、あれほど数は多くありません。

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ヒゲナガガ類1

朝から雨が降っています。おかげで昨日は寒さが和らいでいましたが、雨が上がると気温は下がって冷え込んでいくそうです。一昨日の予報なので、変わるかもしれませんが、お気をつけください。

ウスキヒゲナガまた小さい蛾類で申し訳ありませんが、今日から私のコレクションにあるヒゲナガガ類を紹介していきます。写真1枚目はウスキヒゲナガガ Nematopogon distinctus Yasuda, 1957です。これは私の大師匠が記載した種類です。大師匠は修士課程1年のときに退官されましたが、今でも交流を続けさせて貰ってます。本種は花の蜜を吸蜜し、幼虫は何をエサにしているのかはまだ不明です。

ややこしいのですが、私には大師匠と師匠がいてます。師匠は博士課程のときにお世話になりましたが、師匠の研究対象がヒゲナガガだったので、調査に行ったときにはお土産としてよく採取していました。奄美大島で採取してきたものは、師匠にとって気になる種類だったようで、その後すぐに調査に出かけていたことを思い出しました。

ケブカヒゲナガ写真2はケブカヒゲナガ Adela praepilosa Hirowatari, 1997です。かつてはAdela nobilisとされていたのですが、研究の結果、新種であることが分かり記載されました。他のヒゲナガガと比べて頭部が毛むくじゃらです。幼虫のエサも分かっていません。写真3はメスです。ヒゲナガガ類の触角が長いのはオスで、短いのがメスなので、すぐに雌雄の判別は付きます。

ケブカヒゲナガ♀ヒゲナガガ類はポータブルケースを作って、幼虫はその中で暮らします。最初は食餌植物の葉の上でケースとなる部品を切り取り、重ね合わせてケースを作ります。蛹になるときにはケースの中で蛹になるのですが、幼虫のままで冬越しするのかどうかは忘れてしまいました。ヒロズコガるいやツツミノガ類もこういったケースを作ります。いろいろと採集したい小蛾類がいますので、来春からがんばろうと思います。まず手始めにコバネガ類ですね。このグループは爽秋に出現し、気をつけないとすぐにシーズンを失ってしまいます。また採集できたらアップしますね。

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ちょっとびっくり

今朝も冷え込みましたね。風邪などを召さないようにお体をご自愛ください。

水生昆虫検索図説蚊やユスリカなどの種類を調べるために、必要だろうと知り合いから「日本産水生昆虫 科・属・種への検索」を借りてきました。発売当初は少し懐がさびしくて、約3万円の本を買わなかったのですが、今は再販されることもなく出版社にもない状態なのかもしれません。で、この古書をインターネットで調べましたが、ちょっとびっくりしました。某大手通販サイトでこの約13万円で出品されてました。約4倍!さらに手が出せなくなってしまいました。蚊とユスリカとガガンボの部分はページ数が非常に多くて、コピーをするのも一苦労かもしれません。あきらめて時間のあるときにコピーをさせてもらおうと思ってます。

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ヒロズコガ類4

今朝も寒いだろうと予測し、ダウンジャケットを着てきたのですが、昨日より寒さは少し和らいでいる感じがします。昔懐かしい「マーフィーの法則」のような・・・。

アトウスキヒロズコガ4(小)さて、今日もヒロズコガですが、今日でいったん終わりにしようかと。昨日書いたマエモンクロヒロズコガと同属で、記載されておらず和名だけがあるアトウスキヒロズコガ Monopis sp.です。これも採集したのは家の玄関で、発生源が分かりません。Monopis属は前翅中央に白い紋が見えるかと思いますが、これも特徴の一つです。鱗粉がはげてしまっていますが、展翅していない標本を写真2に示します。

アトウスキヒロズコガ前翅後縁が淡褐色になり、写真では明るく見えますが、その他はやや暗い褐色を呈します。これに似たキバガもいますが、形態的に異なるので、すぐに分かるでしょう。最後に写真3に示したクロクモヒロズコガ Psecadioides aspersus Butler, 1881です。ヒロズコガ類をこれまでいろいろと集めてきましたが、野外で採取できるものは生かして持ち帰り、家で展翅します。家屋に発生するヒロズコガ類は未だ採集できていません。特にジュウタンガ Trichophaga tapetzella (Linnaeus, 1758)は一度採集したいですね。最近はあまり見かけないということしか聞きません。知り合いの専門家でも採集したという話も聞きません。分布は汎世界となっているのですが。

 

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