この前の日曜日には箕面公園昆虫館に行ってきました。そこで久しぶりにカメムシが専門の昆虫研究家である方と出会い、このブログを見てくれていることを知りました。ありがとうございます!
今日はハジラミ目 Mallophaga についてです。ハジラミ目は一般の方はあまりお目にかかれない昆虫ですが、鳥に寄生する昆虫で翅がなく、咀嚼型の口器を持っています。血を吸わずに鳥の老廃物やフケを食べているのです。頭部下面には溝があり、羽毛の軸(主軸ではなく、分枝した細い軸の方です)を溝にはめてしがみつきます。鳥の種類によって寄生する種類が変わる種特異性を持つものもいて、溝の太さは、その鳥の羽毛軸の太さにぴったりとなっています。
写真は未同定のハジラミ目の一種です。箕面公園昆虫館に勤務している時に、昆虫館の裏で鳥が死んでいました。某博物館に出入りしている骨を集めている人に鳥の死骸があったら拾っておいてね、と頼まれていたので袋をとりに行きましたが、戻ってきたときには、時すでに遅し、ノラネコに持ち去られていました。そのせいで鳥の種類が分からず、残っていた羽毛を見るとうごめくものがいたので、あわてて採取しました。鳥の羽も残っていたので、羽だけで同定できないものかと博物館の人にお願いをしました。いまだに結果は来ていませんが。
しかし、ハジラミ目は多系統群であり、系統分類学では単系統群のみを認めることから、シラミ目・チャタテムシ目と同じグループにされています。この方が確かに合理的な考え方です。ハジラミ目はコナチャタテの一部から、鳥の巣へ寄生するようになり、そこから鳥に寄生したものと考えられています。しかし、鳥の進化速度にハジラミが付いていけず、1種の鳥に何種類ものハジラミが寄生することになったと考えられています。身近なものにはニワトリに寄生するニワトリナガハジラミ Lipeurus caponis (Linnaeus, 1758) やネコ寄生するネコハジラミ Felicola subrostratus (Burmeister, 1838) などもいますので、機会があれば見れるかもしれません。