昆虫の分類19

夜中に雨が降っていたようですが、昼から降るような予報になってます。おかげで暖かいですが、また冷え込むといわれてますので、お気をつけください。

さて今日はチャタテムシ目 Psocoptera です。私が北海道大学で働いていたときにチャタテムシの分類系統の研究をしていた方が成果を発表しており、現在ではシラミ目 Anoplura とハジラミ目 Mallophaga も含んだ一群と考えられています。これ以前はシラミ目とハジラミ目を一緒にして Phthirapteraとされ、チャタテムシ目は独立した目となっていましたが、どんどん纏められていくようですね。しかし、ここでは、チャタテムシ目とシラミ目とハジラミ目は別々にしてお話したいと思います。

カツブシチャタテ?2チャタテムシ目は齧る音が、茶せんでお茶を点てるときの音と似ていることからこう呼ばれることになりました。家屋内でよく見かけるのは、ヒラタチャタテ Liposcelis bostrycophilus Badonnel, 1931(写真1)が有名です。カビを食べるので、湿気の多い場所や空気のよどんだ場所に発生していますが、人への加害は報告されていません。口器を動かすための筋肉が発達しているので、頭部を横から見ると後頭楯 postclypeus と呼ばれる部分が膨らんでいます。

系統解析するときには、外群として近縁なグループ(姉妹郡といいます)を選択し、外部形態や遺伝子などを比較して進化状態を決定して行います。シラミやハジラミ、チャタテムシを対象として系統解析をした結果、ハジラミやシラミのグループと近縁で同じ系統群になってしまうという結果が出たので、すべてまとまったグループであると示唆されたのです。不完全変態群はどのような系統になっているかがはっきり解明されていませんでしたが、分子系統が発展したおかげで、徐々に解明されつつあるようです。

オオチャタテチャタテムシの多くは野外性のものが多く、幼虫などはカメムシと同じように小規模な集団になることが知られています。イワシなど小魚と同じで、外敵に襲われた際に、被害を最小限に抑える生きるための知恵なのでしょう。やがて成虫になると翅を持ち、その翅脈は湾曲したものを持つなど、非常に特徴的です。写真2はオオチャタテ Amphigerontia nubila Enderlein, 1906で、日本最大種のチャタテムシといわオオチャタテ2れています。触角も非常に長いのが分かります。翅の紋様なども特徴的(写真3)なので、すぐに見分けが付きますが、その他のチャタテムシは図鑑にもあまり掲載されておらず、専門家以外は分かりにくいグループです。イダテンチャタテという面白いチャタテムシもいますよ。一度調べてみてください。

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