今朝は寒かったですね。最近は日の出の時間がやや早くなってきたのですが、まだ暗い時間なので、家を出るときは背中が丸まってしまいます。
今日もカメムシ目の話です。今日は腹吻群 Sternorrhyncha です。このグループにはキジラミ類、コナジラミ類、アブラムシ類、カイガラムシ類が含まれます。いずれも植物に口吻を刺して汁を吸い、農業害虫としてよく知られています。写真1はワタムシの一種です。野外ではワタムシは体にロウ状の物質をまとっていて、綿ボコリが飛んでいるような感じに見えます。北海道ではトドノネオオワタムシ Prociphilus oriens Mordvilko, 1935 が飛ぶと、雪の季節になるという話があり、ユキムシとも呼ばれます。
その他に面白いのは、オオワラジカイガラムシ Drosicha corpulenta (Kuwana, 1902) です。5月ぐらいから見ることが出来ますが、私が見たのは植物上にいるものではなく、地面を歩いているものばかりでした。写真2がメス成虫ですが、結構大きいものがいるようです。人間に対して危害を加えることはありませんが、街路樹などで大量に発生した場合に、偶然屋内に入ってくることがあります。そのときに潰してしまうと色が付いてしまいます。カイガラムシの仲間には、赤い色素(カルミン酸色素)を得るために利用されているものもあり、アジア産のラックカイガラムシ Kerria lacca (Kerr, 1782)、メキシコのコチニールカイガラムシ Dactylopius coccus Costa, 1835などがそうです。「カンパリ」というお酒は過去にこれで着色されていたそうです。昔から使用されていたので、問題はないそうですが、最近ではアレルギー反応の報告があり、色素ではなく、元になった原料のタンパク質由来だろうとされています。