昆虫の分類25

学会の発表の準備で少し寝不足です。帰ってからしか出来ないので、少しずつしか進んでいません。どうしよう。

今日もカメムシ目のお話ですが、昨日の続きだと鞘吻群 Coleorrhyncha になるのですが、このグループはオーストラリア(タスマニアとロードハウ諸島を含む)、ニュージーランド、ニューカレドニア、アルゼンチン南部、チリ南部にしか分布しませんので、今のところ日本からは未発見です。生態的にもあまりわかっていないことのほうが多く、研究の余地がいっぱいあります。結構面白い形をしているので、一度調べてみてください。

トリオ・ザ・カメムシお話は異翅亜目 Heteroptera になります。これはいわゆるカメムシで、かなり多くの種類がいます。悪臭で有名ですが、それは大型のカメムシ類で、小形のカメムシ類を研究している方は、逆にいいにおいがすると仰ってます。写真は左からツヤアオカメムシ Glaucias subpunctatus Walker, 1867、キマダラカメムシ Erthesina fullo (Thunberg, 1783)、クサギカメムシ Halyomorpha picus (Fabricius, 1794) で、かなりの悪臭を放ちます。しかし、これは防御であって、外敵に襲われたときにだけ胸の分泌線からにおい物質を出します。その開口部には、よく揮発するようにする部分があります。ちなみにこういった強烈なにおいを放つ個体をケースやビンの中に入れてふたをすると、自分のにおいと窒息で死んでしまうことがあります。自家中毒みたいなものですね。

DSCN3055一番身近なカメムシは、ご存知トコジラミです。これは以前にブログに書いたので、それを参照してください。結構悪役が多いカメムシですが、農業上は害虫を捕食するものもいて、生物農薬として利用されています。写真はクビレヤサハナカメムシ Amphiareus constrictus (Stål, 1860) ですが、将来的にはハナカメムシ科 Anthocoridae やサシガメ科 Reduviidaeなど、捕食性のカメムシ類が利用されるのではないかということで研究が進んでいます。もうすでに輸入されていると思いますが、ヒメハナカメムシ Orius strigicollis (Poppius, 1915) に近縁な種などは温室内のアザミウマなどを駆除するために導入されたものなどが有名です。しかし国外の種類だと、ハブ退治のために導入したマングースのようなことにならないように気をつけないといけません。

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