今朝は会社の最寄り駅に着いたら雨が降って来ました。予報より少し早く降り始め田と思っていたのですが、よく考えれば私が知っていたのは大阪市内の予報。残念。
今日からコウチュウ目 Coleoptera のお話です。これは私の専門のグループで、世界から約37万種が記載されています。しかしここ数年の論文を見ていると、新種記載が多くて、もう少し増えてるかもしれません。約37万種という数は、すでに1990年代後半に言われていましたので。コウチュウ目は前翅が硬くなり、体を保護することによりバクテリアからの寄生を防ぐ、体からの水分の蒸散を防ぐ、さまざまな環境にもぐりこむことが出来る、などいくつもの利点を獲得して繁栄してきたと考えられています。種類が多く分類体系は細分化されていますが、それはおいおいお話しすることにします。写真1は言わなくてもお分かりになるかと思いますが、ヘラクレスオオカブト Dynastes hercules hercules (Linnaeus, 1758) で、三重県立博物館の学芸員からお聞きしましたが、Linnaeus が一番最初に記載した甲虫だそうです(Linnaeusの「Systema Naturae」の甲虫の部のトップに記載されていたから、という理由)。
コウチュウ目は始原亜目 Archostemata 、粘食亜目 Myxophaga、肉食亜目 Adephaga、多食亜目 Polyphaga の4亜目に分けられます。始原亜目にはナガヒラタムシなどが含まれ、粘食亜目にはツブミズムシ、肉食亜目にはオサムシやゲンゴロウ、多食亜目にはカブトムシ、クワガタムシ、カツオブシムシ、カミキリムシ、ゾウムシなどが含まれます。今日は始原亜目について少しお話を。始原亜目には日本からはナガヒラタムシ科 Cupedidae とチビナガヒラタムシ科 Micromalthidae が確認されています。その他には外国からOmmatidae、Crowsoniellidae、Julodidaeの3つをまとめたグループになります。写真2はナガヒラタムシ Tenomegra mucida (Chevrolat, 1829) です。これは以前にもお話したように、アミメカゲロウ目の翅に似ており、そこから派生したグループと考えられています。腐朽菌が発生している朽木でよく見られ、幼虫はその朽木を食べているそうです。チビナガヒラタムシ Micromalthus debilis LeConte, 1878 は大阪の小学校の木製の給食台から発生したものが発見されたことがあり、この種の幼虫も朽木を食べると考えられています。昔は木製の電柱があったので、そこから発生したとも聞いたことがあります。ユーラシア大陸からはこれらのグループの祖先と考えられる化石が多く見つかっています。他の科の標本も欲しいなぁ。