先週末は甲虫学会と昆虫学会がありました。甲虫学会では私が「箕面の甲虫」について発表し、暫定的に1207種の甲虫が記録されています。しかし環境の変化に伴い、いなくなった種もいれば、新たに生息を広げている種もあり、もう少し精査が必要です。参加者の多くは箕面で採集されていらっしゃったこともあり、いろいろご教示いただきました。この場を借りて御礼をさせていただきます。ありがとうございました。昆虫学会は大阪府立大学(私の母校)で応用動物昆虫学会との合同大会でしたので、合間を縫って来場していただいた方もいらっしゃいました。
少し日が開きましたが、今日はコウチュウ目タマムシ上科 Buprestoidea です。タマムシ上科にはタマムシ科 Buprestidae の1科のみで構成されます。タマムシ類は金緑色のきらびやかなものから、つやのない黒色をしたものまでさまざまな色彩があります。個体によっては色彩変異もあり、同定は他の甲虫に比べて簡単なものもありますが、慣れないと難しいでしょう。古くは奈良時代の玉虫厨子に利用されたり、刀の柄や首飾りなどに使用されていました。また、タンスの中に入れておくと服が増えるとか、防虫になるとか、民間伝承もあります。幼虫は樹木の内部を食害することから、森林害虫とされることもあります。皆さんがよく知っていらっしゃるヤマトタマムシ Chrysochroa fulgidissima fulgidissima (Schönherr, 1817) などはサクラやエノキを食害します。写真はアオマダラタマムシ Nipponobuprestis amabilis (Snellen van Vollenhoven, 1864) です。大阪では箕面の方で見られましたが、最近は出て行っていないせいか、私は見てません。
小型でも綺麗な種が多く、写真2のムツボシタマムシ Chrysobothris succedanea E. Saunders, 1873 や写真3のシラホシナガタマムシ Agrilus alazon Lewis, 1892なども綺麗。このようなタマムシ類は愛好家も多く、海外のタマムシを集めていらっしゃる人のコレクションを見るとすごいなぁ、と思ってしまいます。特にアフリカのマダガスカルに生息するカワリタマムシ類などは形も異なり、面白いです。ほとんどのタマムシは木材から脱出しやすいように細長い体型をしていますが、カワリタマムシ類は平べったい楕円形をしています。一度調べてみてください。世界のタマムシや日本のタマムシについては、むし社から図鑑が出版されています。