気合

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参照標本作製、同定業務、資料作成などいろいろな作業を並行していますが、ちょっと気合が足りないと疲れてしまうのが原図作製です。

分類をやっているので、自身の研究論文に掲載する原図はそんなに疲れないのですが、今やっているハエ目の翅脈相の原図は1枚で終わってしまうことも多々あります。年なので目の疲れも出てきます。翅脈とは膜状の翅を強固にするためのもので、凧のホネと考えてもらえればいいでしょう。翅脈相とはどのように脈が走っているか(配置されているか)を示したものです。

ハエ目の分類は、剛毛配列や翅脈相とその他の形態を併せて同定のポイントとなっているので、重要なのです。翅脈は翅の胴体側にある翅底骨(第1~第3まであります)と呼ばれる骨片由来のもので、それぞれ名前がついています。脈の名前で説明をするのは困難なので、図にした方が楽なので書いています。

他の昆虫では、特に微小な昆虫になると、膜質部が少なく翅脈を少なくし、縁毛を長くする傾向があります。アザミウマやコバチ類などを思い浮かべて貰うといいでしょう。微小な昆虫は空気の抵抗が水アメの中を泳ぐような粘度になるそうです。ですから、なるべく小さい翅で舟のオールのように動かしているといわれています。何か面白い研究ポイントがあるかもしれません。

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所蔵標本

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以前このブログ(?)でも書かせていただきましたが、私は参照標本を作成しています。基本的に「~害虫」とされているものを集めていますが、その他の昆虫も「害虫」とされてしまうかもしれませんので、近縁なグループなども集めています。それ以前に大きく分けたグループがどれだけいるのかという簡単な標本箱も作ってあります。

「害虫」や「益虫」というものは、人間の都合によって決められたものであると、大学の指導教官に教えられたことがあります。昆虫は普段どおりの生活をしているだけなのに、人間の生活や食糧に関与すると「益虫・害虫」にされてしまいます。昆虫にしたらいい迷惑かもしれません。

また昆虫の名前には「~モドキ」や「~ダマシ」「ニセ~」なども出てきます。科と呼ばれる分類階層があり、ゴミムシ科(今はオサムシ科に含まれています)とゴミムシダマシなどは有名です。オサムシモドキ(オサムシ科)、オサムシダマシ(ゴミムシダマシ科)などややこしいものもあります。虫にとっては勝手に偽者にされたり「そっくりさん」と言われ、これもいい迷惑ですね。

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小さな蛾

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今日は朝から冷え込みましたが、いい天気になりました。ハイキング日和ですね。

出勤するのに家から出るとマンションの壁に小さなものが動き回っては止まるというのを繰り返していました。「何やろ?」と思いつつ小さなスクリュー瓶にその生き物を入れて会社で確認をしました。

キバガ科の一種でした。キバガ類は類縁関係が複雑になっていて、研究者によって細分化したりいくつものグループをひとまとめにしたりしていて、混乱中のグループで、ジャガイモキバガなどの農業害虫、コクガという貯穀害虫などが耳慣れているのではないでしょうか。

今朝採集したキバガは貯穀害虫ではなかったのですが、分類が進んでいないグループです。標準蛾類図鑑が昨年か一昨年に出版されましたが、それに本種と近いものが掲載されていたような気がします。

で、小さい展翅板を使って展翅しました。古典的な豚毛を使う展翅法があるのですが、一般的なチョウを展翅する方法でやりました。久しぶりだったので勘を取り戻せていません。学生の頃には指導教官や先輩たちが小蛾類の研究をしていたので、展翅して上納していたのですが、今日の出来はあまり納得がいっていません。かといって何回も修正していると翅がボロボロになってしまいます。ここで止めとくのがいいでしょう。

明日もいい天気だといいですね。天気がよければ箕面で採集してきます。小さい蛾とハナアブやコバチ狙いで。

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久しぶりの晴天

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今日の大阪は、朝はどんより曇っていましたが、ようやく晴天に恵まれました。雨が続くと少し気分も落ち込んでしまいがちです。落ち込んでいたわけではありませんが、昨日・一昨日とこのブログを休んでしまいました。同定業務などがありますが、なんとか毎日続けていこうと気合を入れています。

私は昆虫全般の形態に興味があります。自分の研究グループを除いて、今のところ一番関心のあるグループは自然環境では採集できない家屋害虫です。ですから、作業をしていてトラップにこういった虫が採取されているとあっと思うことが時々あります。頻繁にあるとだめなんですが。一昨日同定をしていて、自身では初めて見るハネスジヒメマキムシを見つけました。あまり解説されていない箇所を見て、他種との違いを確認しているのですが、普通の人から見ると「おかしい人」に思われそうです。

オサムシやカミキリムシなどは昔から収集家がいていろいろな図鑑が出ていますが、こういう雑虫と呼ばれるグループはあまり詳しく掲載されていません。チビヒラタムシやホソカタムシなど日本産の全種を掲載した図鑑がありますが、その他のグループごとの全種図鑑が出ればいいなあと思っています。昆虫全種図鑑だったらなおさらですが、これは無理でしょうね、種が多すぎて。

自分の研究しているグループも小さすぎるので、目が悪くならないうちに完成させないと。

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またまた害虫

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今日の大阪は朝のうちは雨でしたが、お昼前から晴れてきました。ようやく青空が見れてよかったです。

部屋の中は少し肌寒かったのですが、壁にゆっくりと動くものが見えました。よく見てみるとヒメマルカツオブシムシでした。標本箱の近くだったので「やばい!」とあわてて標本をチェックしましたが、粉が落ちているものはなく、安堵しました。昆虫研究者にとってヒメマルカツオブシムシは天敵なのです。せっかく捕獲した珍しい昆虫も、こ奴にかかると無に帰ってしまいます。

このヒメマルカツオブシムシは屋内で幼虫時代を過ごします。成虫は春先に河川敷や家庭の花壇にあるデイジーなどの花粉を食べています。その後産卵のために屋内に侵入し、動物から作られた乾物を食べて成長します。成虫の表面は、蝶や蛾を同じように毛が変化した鱗片(甲虫ではこう呼びます)を備えています。蝶や蛾の鱗粉よりははがれにくいのですが、はがれてしまうと真っ黒になってしまいます。また触角や脚を収納する溝もあり、うまく丸まることも出来ます。

いろいろ観察する分には面白いかもしれませんが、やっぱり会いたくない昆虫ですね。

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雨ですね

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今日の大阪はまたまた雨です。その代わりといっては何ですが、週末は晴れの予報。気圧配置などが変わらなければいいのですが。

雨の日が続くと部屋の中も湿気が多くなり、シミが見かけられるようになりました。昨日も書いたように我が家には標本がありますが、そのほかにも文献があります。私は昆虫の分類(おもに甲虫)の研究を行っているので、古い本もあり少し心配です。

現在はインターネット上で著作権の切れた古い文献はPDF化されて入手が可能になっていますが、昔は図書館に文献複写依頼をしなければなりませんでした。あまりにも古くて重要な文献は「依頼謝絶」といわれて丁重にお断りされました。そういうときには、入手しにくい単行本などは海外の古本屋で入手しなければなりませんでした。今の学生はお金がかからずに済んでうらやましい限りです。

私の所蔵文献の中で一番古いのはThomas Marsham(1802)の「Coleoptera Britanica」という本になります。私の友人などは「有名な魔法使いの映画に出てくるような本屋なぁ。」と言っています。その他にも1800年代の本が多くあり、シミだけでなくチャタテムシの被害も気にしないといけませんね。

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整理整頓は基本

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昨日、標本を探す必要があり保管場所をゴソゴソしているといろいろ出てきました。昆虫もいろいろあって、ベトナムに行ったときのヒルの標本、友人から受け取ったFlight Intercept Trap(FIT)のもの、マレーゼトラップの抽出前のもの・・・。

自分の研究に使用するものは早々と標本にしているのですが、そうでないものはついほったらかしになってしまいます。その中でも昆虫とまったく関係のないものがありました。

写真で示したオパールの原石です。これは私が北の大地の博物館で働いていたときに古生物研究室の方からいただいたもので、断面はきれいな色をしています。ちょっと写真では見にくいですが・・・。この原石は久しぶりに見たのですが、やっぱり日ごろから整理整頓を心がけておかないと必要なときに必要なものが出てこないことになります。このように整理しておかないと別のものが紛れ込んでいる場合もあります。

害虫防除の基本も掃除や整理整頓ですので、これからは心がけます!

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ここ一週間雨が続いています。洗濯物は乾きませんし、部屋の中も湿度が高くなっていて、カビやヒメマキムシ、チャタテムシなどに気をつけねば、と思っています。

この雨で見ごろだったサクラも散ってしまいましたが、先日の日曜日に箕面公園昆虫館に行きました。その入り口にある枝垂桜はきれいに咲いていて、来館していた子供さんが「モモの花がきれいやで!」といっていました。花の色で区別しているのかもしれませんが、子供さんには区別は難しいのかもしれませんえ。周辺はカエデの花も咲いていて、新緑がきれいな季節に変わっていくようです。

そういえば、今日のインターネットニュースに「日本のミジンコ、実はアメリカ産の外来種」という記事がありました。黒船来航以前に侵入していたとありますが、侵入経路などはまだわからないそうです。異物の混入経路も特定できないことが多いですが、300年以上前だとさらにわかりませんよね。ここでふと疑問がわきました。どこの時点で「帰化種」と「外来種」を分けるんでしょう?ちょっと調べてみようっと。

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ヒメマキムシ

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ヒメマキムシ類は多くは野外の枯れ枝などで見かけられる微小な甲虫で、家屋内にもよく出てきます。日本から約34種類が確認されていますが、そのうち屋内で見かけられるものは20種程度います。これらは家屋害虫学会が発行している学会誌に田中(1986)と田中・多比良(1995)が著しています。

写真は上からイトヒメマキムシ、コブヒメマキムシ、ユウレイヒメマキムシです。ユウレイヒメマキムシの頭部と前胸部には、ロウ状の物質が癒着しています。他のヒメマキムシもこのような物質を付着させるようで、この物質を何のために付着させているのかはわかりません。カイガラムシなどは身を守るためなのですが。

今回紹介したものは一般には採集されないようで、私もこの業界に入ってきてから見ることが出来ました。こういった自然であまり採集されない種類は貴重で、全種類が掲載された図鑑を作成する際には必要となります。最近では貯穀害虫のゴミムシダマシ類を持ってませんかと知り合いから依頼されました。しかし残念ながら私は持っておらず、現在も探し続けているとのことです。オオツノコクヌストモドキとかカシミールコクヌストモドキとか協力してくれる人がいてくれたらいいなぁ、と図々しく思っています。

私も自分の研究しているグループの図鑑でも作ろうかな。

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春といえば

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サクラですね!会社の近くには「桜通り」というのがあり、この季節はきれいなサクラを見ることが出来ます。

昨日はすでにお花見をしている人々を見たと当社の人が言っていましたが、近畿では今日から7日まで雨の予報なので、花が雨で散らされる前にやってしまおう、ということでしょう。

平安時代には吉野から京都に強引に移動させようとしたぐらい日本人に愛されているのですが、このサクラ、バラ科植物なので多くの害虫が見られます。蛾の仲間が多く利用しているのですが、花を見るのではなく毛虫やイモムシなどにも気をつけてくださいね。

かなり暖かくなってきているので、シロアリが間違って出てこないかが心配です。もし見つけられたら当社までご相談ください!

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