昆虫の分類26

昨日は休みだったのですが、大阪市内でも雪がぱらつきました。かなり寒かったような気がします。

さて、前回のカメムシ目のお話で不完全変態群は終了しました。今回からは完全変態群のお話になります。完全変態群は卵から成虫へと成育していく過程で、蛹の時期を持ちます。蛹の時期を持つようになったのは、自分が生活する環境で、厳しい時期が来た場合に蛹でその時期をやり過ごすとか言われていますが、はっきりとはわかっていないと思います。確かにそういうことはあるかと思いますが、その他の戦略をとっている昆虫もいるので、私の意見としては複雑な要因が絡んで、そのような進化をしたものと考えています。

オオホシオナガバチ♀Beutel, R.G. et al. (2014) によると、完全変態群 Holometabola の系統樹が図示さており、最初に分岐しているのがハチ目 Hymenoptera (膜翅目)でした。一応これに沿ってお話を進めたいと思いますが、これまでの教科書ではハチ目が一番最後に紹介されていました。一番進化していると考えられているものと勝手な解釈をしていたので、最初にこの本を読んだときには少しびっくりした覚えがあります。ハチ目は広腰亜目 Symphyta と細腰亜目 Apocrita の2つに大別されます。広腰亜目はその名の通り胸部と腹部の間のくびれがなく、バッタ類のようにやや太い産卵管を持ち、植物組織に産卵しまモレンカンプオオツチバチ2す。ハバチ類などが有名です。細腰亜目は、胸部と腹部の間にくびれがあり、寄生するハチ(ヒメバチ・コマユバチなど)、狩りをするハチ(ジガバチなど)のように多様なグループに分化しています。細腰亜目の中ではスズメバチ類・ミツバチ類は身近な存在ということができ、社会性を持つ昆虫としても有名です。写真1はオオホシオナガバチ Megarhyssa praecellens (Tosquinet, 1889)で、木材に穿孔する幼虫に産卵するために産卵管が長いです。産卵管の横にあるのは産卵管鞘と呼ばれ、刀の鞘のようなもので、産卵管が折れないように保護する部分です。写真2はモーレンカンプオオツチバチです(すみません、学名を調べるのを忘れました)。東南アジアのハチで、体長が6~7cmにもなる、かなり大きなハチです。

産卵管は、おもに卵を産むためですが、社会性を持つハチ類では働きバチの産卵管は違う用途で使用されています。スズメバチ類は敵を攻撃することにも使用され、何度でも刺すことができるように、縫い針のように鋭くなっています。ミツバチ類は産卵管の先端付近が鏃(やじり)のようになっており、いったん刺すと抜けなくなってしまいます。また、社会性のハチ類は敵として認識した場合には、刺した箇所に集合フェロモンと攻撃フェロモンを分泌し、軍団で襲われるのはこのためだといわれています。日本のアリ類はそんなことはありませんが、南米のグンタイアリなどは集団で噛んで襲うため、人間でも命が危ないかもしれません。

LINEで送る

投稿日: