昨日は長女の中学の入学式でした。天気もよく気温も暖かかったので良かったです。
今日はナガシンクイ系列 Bostrichiformiaのナガシンクイ上科 Bostrichoideaです。前回のマキムシモドキ上科もナガシンクイ系列でした。書くのを忘れてしまい申し訳ありません。ナガシンクイ上科には、ヒメトゲムシ科 Nosodendridae、カツオブシムシ科 Dermestidae、アミメナガシンクイ科 Endocatomidae、ナガシンクイ科Bostrichidae、シバンムシ科 Anobiidae、Jacobsonidaeの6科が含まれます。家屋害虫としてカツオブシムシ科、ナガシンクイ科、シバンムシ科が有名です。写真1のヒメマルカツオブシムシ Anthrenus verbasci (Linnaeus, 1767) は成虫は野外のキク類(アスターなど)の花粉を食べます。家屋害虫事典によると摂食せずに産卵することが出来る種で、屋内で発生し、産卵した後に野外に出てキク類の花粉を食するようです。その後、また産卵しに屋内に戻るかどうかは分かりません。幼虫は動植物の乾燥した遺骸を食します。
また最近の分類体系では、これまで独立した科であったヒラタキクイムシ科 Lyctidaeなどはナガシンクイ科に含まれるようになりました。上に示しましたアミメナガシンクイ科もナガシンクイ科に含める研究者もいます。ナガシンクイ科はヒラタキクイムシ類以外は背中から見ると、頭部が前胸背板(前縁部はこぶ状隆起や突起を持つものがいます)で隠れてしまい鞘翅の先端付近は切断されたようになり、その部分にトゲがあるものがいます。写真2は奈良県の山奥で灯火に飛来したセマダラナガシンクイ Lichenophanes carinipennis (Lewis, 1896) です。材木を食害するものが多く、古民家などの壁に利用されている竹小舞などにはチビタケナガシンクイ Dinoderus minutus (Fabricius, 1775)などが発生し、駆除に出かけることもあります。写真3はヒラタキクイムシ Lyctus brunneus (Stephens, 1830) です。ラワン材など柔らかい材を好みます。
またシバンムシ科にはヒョウホンムシ科 Ptinidae が含まれ、亜科に降格しています。シバンムシ科にはジンサンシバンムシ Stegobium paniceum (Linnaeus, 1761)やタバコシバンムシ Lasioderma serricorne (Fabricius, 1792)(写真4)、ナガヒョウホンムシ Ptinus japonicus Reitter, 1877やヒセセマルヒョウホンムシ Gobbium aequinoctiale Boildieu, 1854などが一般家庭でよく見られるでしょう。これらは保存食品や乾燥動植物標本、昔ながらの畳(最近は中の芯としてスタイロフォームを使っているものもあります)などが被害を受けます。ヒョウホンムシは字のごとく標本も食べます。カツオブシムシ類やシバンムシ類などと共に分類学者を泣かせている甲虫です。知り合いなどが口々に言っていますが、貴重な標本(珍品など)からやられるので、嫌がらせかと思ってしまいます。私も研究対象は小さいので大丈夫ですが、趣味のコレクションでは何度も泣かされたことがあります。