昆虫の分類50

熊本地震に遭われた方へお見舞い申し上げます。真夜中の強い地震は大変だったと思います。早く余震がおさまり、安心した生活がお送りできますよう祈念いたします。

キノコヒゲナガゾウムシ今日でコウチュウ目がようやく終わります。最後のグループはゾウムシ上科 Curculionoidea です。この上科にはチョッキリモドキ科 Nemonychidae、ヒゲナガゾウムシ科 Anthribidae、アケボノゾウムシ科 Belidae、オトシブミ科 Attelabidae、ミツギリゾウムシ科 Brentidae、ミナミホソクチゾウムシ科 Caridae、Ithyceridae、ゾウムシ科 Curculionidaeの8科が含まれます。科の数は少ないですが、種類としてはかなりの数を含む非常に大きなグループです。日本では森本桂博士が精力的にヒメコブオトシブミ研究をなされ、多くの新種を記載されています。森本博士に教わった方たちも精力的に研究をなされており、現在はゾウムシネットワークというものがあって、さまざま研究者たちが日本のゾウムシに関しての知見を集めています。

皆さんはゾウムシといえば鼻の長いゾウに似た甲虫という認識があるかもしれません。しかしゾウムシ科の中には太くて短い口吻を持つものもいて、原色日本甲虫図鑑Ⅳのゾウムシ科の最ミツギリゾウムシ初のほうに掲載されているものがそのグループです。養老孟司博士もこのグループが大好きで、以前甲虫学会で講演していただいたときには、学会会員の皆さんがプレゼントとして提供してました。

私もだいぶ採集していますが、種分類が難しいのであまり同定できずに置いたままのものがほとんどです。特に森林害虫として有名なキクイムシなどは分かりやすいものは別として、図鑑に掲載されているものでも同定に自信がありません。種類が多いので掲載されている種もあり、不安だらけです。

シギゾウムシこれまでLawrence & Newton (1995)の分類体系に従って科の紹介をしてきましたが、これまで独立の科であったホソクチゾウムシ科 Apionidae、キクイムシ科 Scolytidaeとナガキクイムシ科 Platypodidaeはミツギリゾウムシ科とゾウムシ科に含まれ亜科となっています。写真は上から順にキノコヒゲナガゾウムシEuparius ochlatus ochlatus (Sharp, 1891)、ヒメコブオトシブミ Phymatapoderus pavens Voss, 1926、ミツギリゾウムシ Baryrhynchus poweri Roelofs, 1879、 コナラシギゾウムシ キクイムシCurculio dentipes (Roelofs, 1874)、キクイムシの一種 Gen. et sp.、ナガキクイムシの一種 Platypus sp. です。最近、いろいろな図鑑が出版されていますが、キクイムシ亜科とナガキクイムシ亜科の図鑑が出たら売れるかもしれませんね。

キクイムシの中には、樹幹の中で菌を繫殖させながら生活するものが知られ、アンブロシア・ビートル ambrosia beetle(養菌性甲虫)とも呼ばれ、血縁度の高い個体群を形成します。いわゆるナガキクイムシ家族生活になりますね。キクイムシ類などの幼虫を狙って捕食しに来る甲虫が、その坑道にあった体型、すなわち円筒形をしているものが見られます。

非常に多様な甲虫の世界、興味をお持ちになられたらいろいろ調べて見られるのも面白いですよ。

 

 

 

 

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