トコジラミ

トコジラミ2今朝も寒かったですが、日中は25℃まであがると予想されていて、暖かくなるそうです。夕方以降がどうなるか心配です。

今日の話題はトコジラミ (Cimex lectularius Linnaeus, 1758)。1975年ぐらいからはあまり聞かなくなった昆虫でしたが、最近復活しつつあるようです。確かなことはいえませんが、外国人旅行者が諸国を回ってから来日するようになり、その荷物についてきているのではないかと予測されています。大阪では「民泊」もOKとなり、発生した場合速やかな処理が必要になりますね。

トコジラミ科はおもに鳥やコウモリ類を吸血する生活ですが、トコジラミとタイワントコジラミ(別名:ネッタイトコジラミ、ナンキントコジラミ)のみが人間を吸血します。私が現役の学生時代には、カメムシ研究者の間では「珍品」とされていて、私も実物は見たことがありませんでした。学位を取得するぐらいに、知り合いの畜舎に発生していたのを知り、いただいたことがあります。この会社に入ってからは「珍品」ではなくなってしまいましたが・・・。

写真のトコジラミには白い粉が付いていますが、これは駆除に使用したマイクロカプセル剤です。生きた個体を採取してきて、MC剤の付いたダンボールと共にシャーレに入れて飼育したところ、翌日には痙攣してひっくり返っていました。アメリカではピレスロイド系薬剤に非常に強い抵抗性のあることが実験で示されました。抵抗性をいつ獲得したかについては興味深いところがありますが、使用する薬剤の毒性が弱いものへと移行していることも原因のひとつと考えられています。チャバネゴキブリやトコジラミなど、薬剤抵抗性を身につけた種類が難防除害虫として増えないことを願うばかりですね。

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ツノクロツヤムシ

ツノクロツヤムシ私の自宅は会社から遠いので、朝早くに起きます。日が短くなったので、起床時は真っ暗です。自宅から出るときには明るくなってきていますが、それでもやや寒いですよね。

昆虫はどうでしょうか?昼間に活動する種類と夜間に活動する種類があり、 外敵に見つからないように工夫がされています。「夜間に動くカブトやクワガタは、いても黒ければわからないだろう。」とある人は言ってます。

クロツヤムシ類考えれば確かにうなずけるところもありますが、じゃあヤガの仲間はどないなんねんと思ってます。派手な色をしているものもあれば、木の皮に似せているものもいて、真っ黒ではありません。

真っ黒な甲虫で面白いのは写真1のツノクロツヤムシで、四国の石鎚山系と九州に分布します。日本に産するツノクロツヤムシ科はこの1種だけです。ツノが判るように左斜め上から写真を撮影しました。朽木の中で生活しています。写真2は東南アジアのクロツヤムシ類で、多くの種類がいます。触角を見てみるとクワガタムシ科とコガネムシ科の中間の形をしていて、近縁なグループです。ぱっと見るとコクヌストに似てます。昨日紹介したヒョウタンゴミムシの標本の中に間違えてコクヌストを混ぜている人もいます。よく見ると区別点があるので、観察は重要ですね。

 

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ヒョウタンゴミムシ

今朝も寒かったですね。日中が暖かくなると予想されてますが、紅葉には良いのかもしれません。昼間と夜間の温度差が大きいと鮮やかな紅色になるらしいのです。紅葉の名所は賑わいますね。

オオヒョウタンゴミムシ今日からこのコーナーの編集レイアウトが変更になったようで、手探り状態で編集してます。いろいろ試行錯誤してみますので、読みにくかったらごめんなさい。

今日はヒョウタンゴミムシについてお話しようかと思います。写真1のオオヒョウタンゴミムシは、海岸性の甲虫で、昔の大阪の海浜(砂浜)では見かけることが出来ましたが、現在では自然の砂浜が少なく、まったく見られないとのことです。近隣では兵庫県の砂浜などでは確認されています。

ヒョウタンゴミムシ類写真2は普通ののヒョウタンゴミムシ類とオオヒョウタンゴミムシの大きさを比較したものです。普通のヒョウタンゴミムシは河川敷の砂地などで見られます。微小なヒョウタンゴミムシなどは山間の落ち葉の中で生息しているものもあり、紀伊半島の山の中でしか採集できないものもいます。

かつて日本の海浜や河口付近の砂地に生息していたハンミョウやゴミムシなどは少なくなってきており、それらの保全活動が進んでいますが、その地域だけを保全するだけでなく、周辺環境の保全も必要になってくるのではないかと考えています。

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ドクガ

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10月下旬、ドクガの成虫が見られました。会社の近くで死骸を見つけましたが、きれいだったので標本にしました。しかし乾燥していたためか、展翅することは出来ませんでした。軟化展翅という方法がありますが、結構手間がかかり業務もあるので、そのままにしてしまいました。
幼虫は垣根に使用するサザンカやツバキなどの葉を食べるので、家にサザンカやツバキがある方は気をつけてくださいね。

それから今日はもう1つ。これは以前に採集したクロマダラソテツシジミです。もともとフィリピンなどに生息し、ソテツを食害するチョウとして知られており、日本ではこれまで迷蝶扱いでした。2007年に大阪から宝塚にかけて発生したことがあります。これは輸入した植物についていて、搬送するときに周辺のソテツで発生したとあります。インターネットなどの情報なので不確かではありますが、昆虫関係の雑誌には詳細が掲載されていると思います。

このときはチョウを収集している人はざわめき立っていたもので、網を持った人をよく見かけました。まだチョウだからそんなに大騒ぎしませんでしたが、これが人間に害のある動物や昆虫だったら、と考えると恐ろしいなぁと思います。

昨年のデング熱も大騒ぎしましたが、今年はあんまり聞きませんね。

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ヒラズゲンセイ

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今日も寒くて朝起きるのが辛くなってきました。太陽が昇って陽が差すと少し暖かいのですが。

今日は一般の方には「赤いクワガタ」と呼ばれる虫を紹介します。「赤い彗星」ではありませんので、ご注意を。新種の赤いクワガタと思って昆虫館や博物館などに問い合わせがあるらしいです。確かに大顎が発達しているので、間違えてしまいますね。

ヒラズゲンセイはクマバチの巣に寄生することで有名です。昔はトサヒラズゲンセイやヒイロヒラズゲンセイなどと呼ばれ、高知県など南の方でしか見ることが出来ず、近畿地方では非常に珍しい昆虫でした。現在では滋賀県まで記録があります。

ヒラズゲンセイはツチハンミョウ科の甲虫で、カミキリモドキと同じようにカンタリジンという物質を出し、それに触れるとかぶれてしまいます。クマバチは公園や家の庭の藤棚や立ち枯れの木に穴を掘って営巣しますので、万が一発見された場合には、触らずに放っておいて下さい。人間に対する攻撃性はなく、そのまま違うところへ飛んでいきますので、安心してください。

この他にも南のほうに住んでいたのに、北上している昆虫としてナガサキアゲハ、キマダラカメムシなどが注目されています。クマゼミやイシガケチョウなどもいまや普通ですが、かつては珍しい昆虫だったのでしょう。大昔の日本の昆虫相はどうだったのでしょう? 実は面白いことになっていたりして。

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海外の標本2

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今朝は一段と冷え込み、昨日の予報では5℃ほど気温が下がるそうです。帰りは寒くならないように願いたいですね。

そんな気温低下とはまったく無縁の場所の熱帯に住んでいるチョウを紹介します。昨日のタイワンオオコオロギと同様に、いただいたものです。クリメナウラモジタテハといい、後翅に数字が書いてある有名なチョウです。とある学習帳では、同じ仲間のウズマキタテハが表紙を飾ったことがあります。

その後翅に見える数字「88」や「89」から、オイテンタ・オイトやオイテンタ・ノーヴィとブラジルでは呼ばれます。現地(国立公園)に行くと普通に飛んでいるところが見られるそうですが、もちろん国立公園内なので採集は禁止。チョウの収集家が行くとフラストレーションが溜まるでしょうね。ちなみにこの標本はペルーで採集されたものらしく、規制がなかった頃のものだそうです。

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海外の標本

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家を出るときにはやや薄暗く肌寒かったので、上着を着て着ましたが、会社の近くでは汗が流れてきました。この季節は服装に悩んでしまいます。

今日は家から少し標本を持ってきました。海外のも含まれていますが、ちゃんと許可をもらったものらしく、子供たちに見せるのに役立ててくださいといただいたものがほとんどです。そういった標本は非常に助かります。写真はタイワンオオコオオコオロギらしきものです(まだ同定できてません)。かなり大きくて食用にされるそうです。

絶滅の恐れがある動物類は、昆虫類ももちろん含まれますが、ワシントン条約などで保護されています。よっぽどの理由がない限り、生息地から国外へ出されることはないようです。それだけに密漁が増えてしまう懸念があります。

最近は外国の昆虫標本を利用した研究論文を書くのにも輸出国の許可が必要になってきています。分類学者を養成する講座の講師として、インドネシアに連れて行っていただきましたが、遺伝子研究もその地でやらないといけないとお聞きしました。設備などそろっていればいいですが・・・。

さて、私も研究を進めていかなければ。

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展足中4、および訂正

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朝夕は見えこみますが、日中は少し汗ばむような気候ですね。体調を崩さないようにがんばりましょう!

昨日は展足をしました。友人にもらったハナカマキリ(写真1)やコモンフラワーマンティスなどです。もらったのが古かったので、少しもろくなっていました。生きているときには鮮明な白色で、きれいのですが死んでしまうとその色が褪せてやや黄ばんでしまいます。明確ではありませんが、肉食なので食べたものの油が出てくるのでしょう。

また、以前に依頼があってキボシアシナガバチの巣を採集していたのですが、幼虫や蛹があることから透明の容器に入れて観察していました。そしたら小さなものがワンサカ出てきたので、見てみるとノミコバチ科の一種でした(写真2:オス、写真3:メス)。おそらくハチノスヤドリコバチ Elasmus japonicusだと思うのですが、まだ原記載を確認していません。現在日本から4種だけ記録されていて、本州にはatamiensis、hakonensis、japonicus、の3種が、九州にはisshikiiの1種がいます。まだ分類が進んでいないのかもしれません。

基礎的な研究はあまり人気がないのでしょうか。しかし、分類が行われなくなると困ったことになりますよね。大学などでそういった研究を増やしてくれたらいいのですが、それを教えることが出来る先生も少なくなってきてたりして・・・。

それと、2日前のこのコーナーで写真つきでシマヘビと紹介しましたが、採集した人からはアオダイショウだと指摘を受けました。お詫びと共に訂正いたします。ごめんなさい。
やっぱり実物を見ないといけませんね。

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スズメバチ

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最近忙しかったのは、環境調査や自然観察会の講師をやってました。この季節ですから、自然観察会では鳴く虫の観察会で、鳴き声を楽しみながら行いました。アオマツムシがうるさかったですが、それにも負けずマツムシもチンチロリンとかわいく鳴いていました。環境調査では、かなりの頻度でスズメバチを見ました。

自然観察会や環境調査をしていたところは、市街地やそれに近い里山環境の場所でしたが、オオスズメバチやコガタスズメバチ、キイロスズメバチなど観察されたのはおなじみの面々でした。チャイロスズメバチ、ヒメスズメバチ、モンスズメバチやクロスズメバチなどはまったく見られませんでした。

今の季節もスズメバチは少ないですが行動しています。何かありましたらハウスドクターまでご相談ください。スズメバチは陽が暮れると帰巣しますので、夕刻からの作業となります。

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ヘビの駆除

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久しぶりに更新できました。最近はいろいろと忙しく、ネタもないということも原因の1つでしたが、社員から情報の提供をしていただきました。

2枚目の写真は大阪府で依頼があったヘビ駆除からかえってきたときの写真です。170cmはありそうですね。ヘビが苦手な方もいらっしゃいますが、喜んで捕まえる人もいらっしゃいます。マムシも恐れずに捕まえるんでしょうか・・・。

1枚目の写真のヘビはシマヘビで害はないのですが、やはり家に住まわれるといやなのでしょう。

普通のシマヘビよりは黒いので、黒化個体と呼ばれ、ある地方ではカラスヘビと呼ばれます。白いヘビは神様、もしくは神様の使いとされ、卵をお供えする方もいらっしゃいます。山口県岩国市では天然記念物にもなってます。

自然界ではこういった遺伝子による個体変化があり、昆虫でもよく赤いバッタが取れました、という新聞記事も目にします。環境変化によって出現することもあるので、環境のことは大事に考えたいですね。

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