ヒメマキムシ

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ヒメマキムシ類は多くは野外の枯れ枝などで見かけられる微小な甲虫で、家屋内にもよく出てきます。日本から約34種類が確認されていますが、そのうち屋内で見かけられるものは20種程度います。これらは家屋害虫学会が発行している学会誌に田中(1986)と田中・多比良(1995)が著しています。

写真は上からイトヒメマキムシ、コブヒメマキムシ、ユウレイヒメマキムシです。ユウレイヒメマキムシの頭部と前胸部には、ロウ状の物質が癒着しています。他のヒメマキムシもこのような物質を付着させるようで、この物質を何のために付着させているのかはわかりません。カイガラムシなどは身を守るためなのですが。

今回紹介したものは一般には採集されないようで、私もこの業界に入ってきてから見ることが出来ました。こういった自然であまり採集されない種類は貴重で、全種類が掲載された図鑑を作成する際には必要となります。最近では貯穀害虫のゴミムシダマシ類を持ってませんかと知り合いから依頼されました。しかし残念ながら私は持っておらず、現在も探し続けているとのことです。オオツノコクヌストモドキとかカシミールコクヌストモドキとか協力してくれる人がいてくれたらいいなぁ、と図々しく思っています。

私も自分の研究しているグループの図鑑でも作ろうかな。

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春といえば

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サクラですね!会社の近くには「桜通り」というのがあり、この季節はきれいなサクラを見ることが出来ます。

昨日はすでにお花見をしている人々を見たと当社の人が言っていましたが、近畿では今日から7日まで雨の予報なので、花が雨で散らされる前にやってしまおう、ということでしょう。

平安時代には吉野から京都に強引に移動させようとしたぐらい日本人に愛されているのですが、このサクラ、バラ科植物なので多くの害虫が見られます。蛾の仲間が多く利用しているのですが、花を見るのではなく毛虫やイモムシなどにも気をつけてくださいね。

かなり暖かくなってきているので、シロアリが間違って出てこないかが心配です。もし見つけられたら当社までご相談ください!

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アルゼンチンアリ

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またフィギュアの話で申し訳ないのですが、日本の動物コレクションにアルゼンチンアリが出ました。1・2枚目の写真はフィギュアですが、3枚目は実物です。前回のキンバエよりはなかなかよいできばえといった感じです。

アルゼンチンアリはカタアリ亜科アルゼンチンアリ属に分類され、毒針を持っていません。南アメリカ起源の外来種で、世界の侵略的外来種ワースト100、日本の侵略的外来種ワースト100、日本の特定外来生物に指定されています。
日本では広島県から発見されました。その後、発見された地域は11都府県にわたり、確認された地域から分布を広げていかないように、国や駆除業者が日々がんばっています。

なぜ問題になっているかというと、攻撃性が強く、他のアリの巣を襲い成虫・幼虫ともにエサにしてしまいます。また、アルゼンチンアリ同士の巣が合体して複数の女王を擁し、巨大なコロニーを作ることが知られています。これにより日本のアリはえさの獲得競争に負けたり、アルゼンチンアリに駆逐されその地域から個体群が消滅してしまう可能性があります。また、果実なども食害し家屋にも侵入して、快適な場所であれば営巣をして、人間に対してかんだりすることもあるそうです。つまり生態的にも衛生面的にも問題があるということですね。

アルゼンチンアリでなくても、家の中にアリが出現した場合にはお気軽に当社までご相談ください。

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衛生害虫博覧会

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前回に掲載いたしましたケジラミのフィギュア(他人の所有物)ですが、私も入手しました。ついでにキンバエも入手したのですが、個人的な感情ですが、本物感は薄いような気がします。

キンバエ類は各所で見られ、市街地だとゴミ箱やゴミ処理場、山地では野生動物の糞や死骸、海岸沿いだと打ち上げられたゴミや海草などで見られます。ヒロズキンバエは小児マヒウィルスなどの媒介者でもあり、衛生上重要になっています。
幼虫はもちろんウジムシですが、そのウジムシを食べにやってくるのがエンマムシやハネカクシといった甲虫類がその近辺で見られ、食物連鎖の一端を垣間見ることが出来ます。

しかし、昆虫類には動物の糞や腐敗物、死骸を食べる種類にキンバエのような金属光沢を持つものが多く、ヨーロッパではコガネオサムシ、南米ではニジダイコクコガネなどがコレクターアイテムとして有名です。なぜこんな色を持つのかはまだはっきりとわかっていません。南米のカミキリムシや東南アジアのタマムシなどにも金属光沢は多いのですが、これらは枯木を食べていて動物性の腐敗物とは縁がありません。

これらの体色は捕食者である鳥の眼をくらますためだと考えられている一方で、金属光沢にして周囲の景色を写しこみ、景色に溶け込んでいると考えている研究者もいます。いろいろ調べると面白いことが見つかるかもしれませんね。

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ケジラミのフィギュア

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これまでに収集癖のある私のコレクションをいくつかここに乗せてきましたが、今回のは有名な海洋堂が作成した「衛生害虫博覧会」という、いわゆるガシャポンで手に入れられるものです。以前はチョコエッグや日本の天然記念物シリーズなど収集してましたが、ガシャポンの昆虫はあまり気乗りがしなかったのです。しかし今回は俄然気に入ってしまいました。写真には載せたものの、私はまだ手に入れておらず、私の知り合いが自慢げに見せてきたものです。悔しい。

ラインナップはオオスズメバチ、クロゴキブリ、キンバエ、ヒトノミ、ケジラミの5種です。このうちヒトノミとケジラミはまだ見かける機会はありませんが、実物を見てみたい、標本が欲しい、と欲張りな考えを持っています。そういう知り合いがいないので絶望的かもしれません。

ケジラミは一時期少なくなりましたが、現在でも発生が確認され、やや増加傾向にあるそうです。発生する場所が場所だけにあまり聞きませんが、感染症を引き起こす事例はありません。しかし寄生されると大変痒いので、万が一寄生されたら最寄の医者で診察を受けた方がよいでしょう。また家族にも感染していることがある場合もあるらしいので、気をつけましょう。

今回紹介したフィギュアを手に入れたら、写真をアップする予定です。

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タイムカプセル

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今回は琥珀の話をしようと思います。
琥珀はご存知のように元は「松脂」です。恐竜がいた時代に流れ出た松脂が化石となったものです。石ではなく樹脂なので加工しやすい宝石として有名ですが、年代が古いとややくすんだ深いオレンジ色のものとなり、比較的年代が新しいとコーパルと呼ばれます。1つ目の写真はドミニカの琥珀で、アリが封入されています。

昆虫を研究している人は、1つ目の写真のように、普通の琥珀ではなく古代に松脂に付いてしまいそのまま一緒に化石となった虫入りの琥珀を集める人が多いのです。2つ目の写真のようなコーパルの方が安いので持っている人が多いのですが、偽物を作りやすいので、騙されないようにしないといけません。写真のコーパルも偽物が混じっていそうです。

映画ジュラシックパークでは蚊の入った琥珀から恐竜をクローンで復元させていました。技術的にはできそうですが、古代の地球の気候と今の気候では異なる点など問題点も山積みで慎重にならないといけませんね。

宝石店やインターネットなどで手に入れることが出来ますが、時々フリーマーケットで虫入り琥珀のペンダントなどが出ているときもあるので、いろいろ探すと面白いですよ。

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ヤマトシロアリ

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サクラの季節も過ぎ、新緑が美しい季節になりました。
とはいえ、昼間は暖かいを通り越して暑いという感じです。

さて、先週あたりからぼちぼちとヤマトシロアリの有翅虫が出てきたと当社にも連絡が入り始めました。

家の北側や水回りの付近の外部などをお確かめください。飛んできたヤマトシロアリがいるかもしれません。

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コレクター

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昆虫の分類を研究する人は、私の周りだけかもしれませんが、収集する癖があるように思います。よく聞いてみると、鉄道模型、切手、貨幣などオーソドックスなものから鯛の形をした醤油を入れる容器(醤油鯛として有名になっています)や缶コーヒーの空き缶を収集している方もいらっしゃいます。

私もNゲージや切手なども集めていました。これらのものは今はやめていますが、スカラベ印章は見つけるとついてを伸ばしたくなります。写真は一部ですが、スカラベ印章です。裏面は神聖文字(ヒエログリフ)が刻まれています。複製品やお土産ですので、ヒエログリフは適当に書かれているのではと思いつつも、家にある古代エジプト字典としばし向き合いましたが、さっぱり分かりませんでした。

スカラベは古代エジプトでは糞玉を転がす姿から、太陽神の化身であると考えられ、神聖視されてきました。スカラベ形の小石は魔よけとしても使用されていたそうです。ですから、古代エジプトの王や貴族がスカラベ印章を所有し、認証のために紐を通して首からぶら下げて、押印していたと考えられていますが、定かではありません。

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フユシャク

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冬には昆虫の数がめっきり減ってきますが、その厳しい冬に活動する戦略をとっている昆虫がいます。有名なのがフユシャク類で、オスは普通に翅があるのですがメスは縮小するか退化してなくなってしまいます。

エサの少ない冬季に飛翔すると、すぐに鳥に襲われてしまうので、翅を小さくしたものや退化させたものが生き残ったのではないかと考えられています。卵を産むという重要な役割を担っているからでしょう。メスはフェロモンを出し、オスを誘います。実際に見たことがありますが、数頭のメスを目指して多数のオスが群がって飛んでいました。最初は何の現象かとびっくりしましたが、当時の指導教官に教わって納得しました。

写真は未同定ですがウスバフユシャクのメスだと思います。メスの腹部先端に毛の束がありますが、これは産卵したときにこの毛束を付着させて覆い隠す習性が知られています。昆虫観察は夏に多くの種類が見られますが、冬はあまり見ることの出来ないものも見られますので、暖かいコタツから抜け出して山を散策してみてはいかがでしょうか?

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オビカツオブシムシ

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調査中のサンプルからコロンと甲虫が出てきました。
何かな?と思ってみてみるとオビカツオブシムシでした。

見てみると羽化したてでキチン化が十分ではないと思い、しばらく飼育していました。以前北海道の札幌で暮らしていた頃、借りていたアパートでアカオビカツオブシムシを採集したことはありますが、オビカツオブシムシは採集したことがなかったので、黄色い帯になるまで待ってたのですが・・・

死んでしまいました。エサも乾燥した昆虫の死骸を与えていて食べていたのですが、何かが足りなかったのかもしれません。乾燥には強いと考えているので、少量のティッシュを丸めて水で湿らせて一緒に入れておいたのですが、エサの質もあるかもしれませんね。

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