フユシャク

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冬には昆虫の数がめっきり減ってきますが、その厳しい冬に活動する戦略をとっている昆虫がいます。有名なのがフユシャク類で、オスは普通に翅があるのですがメスは縮小するか退化してなくなってしまいます。

エサの少ない冬季に飛翔すると、すぐに鳥に襲われてしまうので、翅を小さくしたものや退化させたものが生き残ったのではないかと考えられています。卵を産むという重要な役割を担っているからでしょう。メスはフェロモンを出し、オスを誘います。実際に見たことがありますが、数頭のメスを目指して多数のオスが群がって飛んでいました。最初は何の現象かとびっくりしましたが、当時の指導教官に教わって納得しました。

写真は未同定ですがウスバフユシャクのメスだと思います。メスの腹部先端に毛の束がありますが、これは産卵したときにこの毛束を付着させて覆い隠す習性が知られています。昆虫観察は夏に多くの種類が見られますが、冬はあまり見ることの出来ないものも見られますので、暖かいコタツから抜け出して山を散策してみてはいかがでしょうか?

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オビカツオブシムシ

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調査中のサンプルからコロンと甲虫が出てきました。
何かな?と思ってみてみるとオビカツオブシムシでした。

見てみると羽化したてでキチン化が十分ではないと思い、しばらく飼育していました。以前北海道の札幌で暮らしていた頃、借りていたアパートでアカオビカツオブシムシを採集したことはありますが、オビカツオブシムシは採集したことがなかったので、黄色い帯になるまで待ってたのですが・・・

死んでしまいました。エサも乾燥した昆虫の死骸を与えていて食べていたのですが、何かが足りなかったのかもしれません。乾燥には強いと考えているので、少量のティッシュを丸めて水で湿らせて一緒に入れておいたのですが、エサの質もあるかもしれませんね。

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Gakkenフィールドベスト図鑑にてコラム執筆

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Gakkenフィールドベスト図鑑 Vol.17
「危険・有毒生物」にて

セアカゴケグモの分布拡大
というコラムを執筆いたしました。

株式会社 学研教育出版
2013年7月16日から発売中です。

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ホタル狩り

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先日、箕面公園にホタルを見に行きました。夕方から人が集まってきて、川沿いの好きな場所に各々が座って、待っていました。結構人が多く、現在は滝つぼのほうまで見ることができるそうです。

水の中にすむホタルは、世界的に見ても日本のゲンジボタルとヘイケボタルだけです。他のホタルは陸上で生活するものがほとんどで、非常に珍しいのです。箕面公園には箕面川があり、ゲンジボタルが生息しています。エサとなるカワニナが多くいることと、水がきれいなことが要因でしょう。以前は昆虫館のイベントで、ある時間だけ外灯を消して楽しんでいましたが、現在はLEDの外灯に変わり、あまり明るくないので、そのまま楽しむことが出来ます。消すと防犯上もよろしくないからでしょう。

さて、写真は上からゲンジボタルのオス、メス、オスの頭部です。オスもメスも敵に見つからないように暗闇で行動することを選んだようですが、それではコミュニケーションが取れないので光を利用するようになったと考えられています。そのためにホタルの複眼は非常に大きくなっています。口はありますが、非常に小さく水を飲むことぐらいしか出来ないそうです。昔の歌に「こっちの水は甘いぞ」とありますが、すでに水しか飲めないことがわかっていたんでしょうか?

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イエシロアリの季節

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いよいよ6月。梅雨入りしたせいかジメジメ感じられる日もありますね。

6月~7月は、イエシロアリの群飛(結婚飛行・巣分かれ)の時期です。関西では以前より、主に湾岸部で見られていますが、その生息範囲は、平均気温の上昇とともに、徐々に拡大しています。

夕方大量に飛び出して電灯などに集まり羽を落とすので、翌朝、大量の羽を見て驚かれる方もいらっしゃいます。

ここ最近の傾向で、マンションやビルの上階でイエシロアリの被害が見られるケースがあります。
侵入経路は、パイプスケースの断熱材中を上へ上へ進むケースや、最近のビルやマンションで推奨されている「屋上庭園」に営巣する場合も稀にあります。

虫たちが棲みかを作ったり、発生したりするのには「条件」が揃う必要があります。その条件は虫の種類で異なりますが、「条件が揃わなければ発生しない」逆に言えば「条件さえ揃えばどこでも発生する」ということになります。

「虫の大量発生=異状を知らせている」と言われます。

大きな被害に遭わないためには、定期点検と防除工事が一番です。人の健康管理と同じように、家の健康管理をしてあげましょう!

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ホソヒラタムシ募集

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最近は日中が暑くて朝晩が冷える日が続いてますが、健康には十分お気をつけください。

虫たちも活動的になってきています。昆虫を研究している人も虫たちの活動に合わせて活発化してきます。
私の後輩で、今は九州大学大学院でホソヒラタムシ科の研究をやっている人がいます。日本にいる種類を一通り見たいというので、私のほうにも連絡がありました。

野外で採集できるものは、後輩自身の腕で採集してもらうのですが、オオメノコギリヒラタムシ、ヒゲブトノコギリヒラタムシなど、倉庫で単発的に発生する種類などはほとんど標本がありません。日本国内での分布などの調査にもなりますので、もし提供してくださる方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。

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ヘッピリムシ

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今日はトラップにかかっていた昆虫の同定をしていたところ、ミイデラゴミムシがかかっており、まだ生きていました。知ってる人は知っていますが、知らない人は体験したことが無いことを動画で撮影しようと思いました。

ミイデラゴミムシは通称「ヘッピリムシ」と呼ばれ、敵に襲われたときに腹部先端(いわゆるお尻のほう)から、高温のガスを噴射します。このガスはヒドロキノンという物質で、空気に触れると化学反応を起こして破裂音とともに高温になります。えさを食べていないので2~3回は連続して出せたようですが、体力が十分であればどれぐらい噴射できるんでしょう?

インドネシアでこれに近い種類を採集したときには、動きがすばやくて3回ほど噴射されましたが(もちろんピンセットに!)3回とも白煙が出ていました。

そんな白煙は上がっていませんが、興味のある方はご覧ください。系統の違う動物のタヌキやスカンクが同じ方法で敵を撃退しているのは興味深いですね。この撮影をした後は逃がしてあげました。

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ヤマトシロアリ

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ゴールデンウィークも終わってしまいました。子供たちを連れて出かけた後、マンションに帰ってきたら「ベランダのところでうろうろしてる虫がいてる」と子供が私を呼んだので、見てみるとヤマトシロアリ有翅虫の翅を落とした1匹がうろうろしてました。うちのマンションには大きいベランダと小さな小さなベランダがあり、小さいほうでうろうろしてたのです。もちろん、ベランダにはヤマトシロアリが好むようなものは無し。どこかに隠れようとしてうろうろしてたのでしょう。

そんなところなので、他にはいないだろうと予想をして周辺を探しましたが、まったくいてませんでした。風が強かったので、飛ばされて迷子になったのかもしれません。じっくり観察できるチャンスなので、飼育容器を厳重にして飼育してます。湿った環境を好むので、濡れたティッシュを入れておいたら、そこにずっといて離れようとはしません。木材のほうには行かないので、何時木材を加害するのかが観察できたらええなぁ、と思ってます。

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ヤマトシミ

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家の中に出てくる銀色の平べったい虫。それはヤマトシミです。タンスの裏や畳の隙間からひょっこり出てきます。大阪では「湿気虫」と呼ばれる地域もあるようで、暗くてジメジメしたところが好きなのかもしれません。

2年前の6月中旬にに家に出てきたヤマトシミを飼育していました。どれだけエサを与えなくても生きることが出来るか、というのを検証していましたが、中にティッシュペーパーを入れておいたので、それを食べて生きていたようです。

会社に持ってきて飼育を続けていたところ、昨日の晩から今朝にかけて、1匹が脱皮し、その脱皮殻を食べていました。脱皮殻を食べるのは習性のようですが、家の中で見つからなくても脱皮殻をエサにしてどこかに潜んでいるかもしれませんね。写真は脱皮殻をせっせと食べているところです。少々の光や振動を与えても、少しの間動きは止まりますが、食べ続けていました。

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鉄骨でもシロアリ被害はあります!

TVでも、シロアリのCMをみかけるようになりました。

ヤマトシロアリが結婚飛行を始めるこの時期、地中や木材中で生活するシロアリが人目につくのは、今のこの時期だけとも言えます。

シロアリの被害は、木造住宅だけと思われがちですが…
鉄骨プレハブのハイツや、高層マンションなどでも被害が見られます。

普通によく見られるタイプのハイツの1階で被害があるのに、床下はキレイ。

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床下には一切被害が見られません。

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探して…

探して…

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やっとみつかりました!
鉄骨に沿って、蟻道がありました!

最近の住宅では、このように一見被害がないように見えるのに、壁の中やパイプスペースの断熱材の中など、表面上は見えないところを通って被害をもたらすケースが見られます。

大きな被害を受けないためには、定期的に点検を受けるのが一番です。

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