昆虫の分類53

今朝は朝からどんよりと曇っています。西日本を中心に天候が悪くなるといわれていて、大阪では夕方が一番ひどいそうです。帰る時なので、お気をつけください。

DSCN5614今日はチョウ目 Lepidoptera です。学名は 鱗のある翅を意味します。翅に毛が変化した鱗粉をまとい、さまざまな斑紋を持つチョウやガなどが含まれます。およそ17万5000種が記載されています。一番原始的だと考えられているのが、コバネガ科 Micropterygidae で、咀嚼型の口器を持つことで、他のグループとは異なります。スイコバネガ科 Eriocranidae などは蛹のときに大顎が観察され、地中から羽化するときにその顎を使って地上に出てくるというのを聞いたことがあります。これまでにこのブログでも小蛾類を紹介してきましたが、私も興味を持っていて集めてます。ただ、原始的なグループは年に1回、春ぐらいに出てくるものが多く、これまでのデータから採集しに行かないといけません。今年はコバネガを採集しに行こうと思っていたのですが、いくことが出来なくなってしまいました。もう遅いかもしれません。小蛾類の研究者たちは幼虫の採集も行いますので、飼育して羽化させますから綺麗な標本を所有しています。写真1は中南米などに生息するカストニアガの一種 Castiniidae Gen. et sp. です。

レテノールモルフォ2チョウ類は言わずもがな、ここから昆虫少年になり研究者の道に進んだ人が少なくありません。私は甲虫が好きだったので、マイノリティだと思います。しかし大学では少し採集していました。よく聞くきれいなチョウと言えばモルフォですね。昔はMorphidae という独立の科でしたが、今はタテハチョウ科の亜科になってます。写真2はレテノールモルフォ Morpho rhetenor rhetenor (Cramer, 1775) です。人から聞いた話ですが、捕虫網に青いのがあってモルフォ用だそうです。また、青いアルミ箔を使ってモルフォが生息している森の中でひらひらさせると、オスが縄張りから追い出しに来るそうです。それからよく見てみると標本には腹部がありません。これは脂が出てきて翅にしみこんでしまうとこの輝きがなくなってしまうから標本として販売するときには外すそうです。よく乾燥させるか脂抜きをした後に腹部をつけているものもあるようです。

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昆虫の分類52

トビケラ目の翅(拡大)今日はトビケラ目 Trichoptera のお話です。トビケラ目の学名は毛の生えた翅という意味です。この毛が鱗粉に変化したという理由でチョウ目 Lepidoptera と近縁であると考えられています。写真1がトビケラ目の翅の拡大図、写真2がチョウ目の翅の拡大図です。写真を見ていただいたら分かりますが、びっしり生えてます。約14500種が記載され、世界中に分布しています。

チョウの翅の拡大トビケラ目は幼虫が水棲で、筒巣や巣網を造るものがいます。中でも有名なのはニンギョウトビケラ類で、山口県岩国市錦帯橋の近くに石人形博物館があり、お土産で石人形が販売されています。トビケラの産卵様式は二通りあるようで、一つはトビケラのメスが水の中に潜り、石の裏などに一粒ずつ産み付ける方式。もう一つはメスの腹端にゼラチン状の物質でくるまれた卵塊を流れの中や陸上(水際の植物マルバネトビケラや草陰など)に産み付けます。後者は卵塊の中で幼虫が孵化し、雨が降ると卵塊が雨と共に流れに移動します。幼虫は5齢期を経て蛹になり、水中から羽化してきます。翅には毛が生えているので、翅が濡れずに陸上に出てくることが出来ます。写真3はマルバネトビケラ Phryganopsyche latipennis latipennis (Banks, 1906)です。山地の中流域で見られます。

幼虫は水棲のため、河川などの水質の指標調査に用いられることがあります。水質汚濁に弱い種が多いのですが、シマトビケラ科、ムネカクトビケラ科、イワトビケラ科などには中程度の有機汚濁に耐える種が多く見られます。成虫は水辺から遠く離れることはなく、走光性もあり、河川湖沼周辺の人家の明かりや街路灯などに大量に集まって不快害虫になることもあります。

 

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昆虫の分類51

前回ようやくコウチュウ目が終わりました。今日は以前はコウチュウ目に含められていたネジレバネ目 Strepsiptera です。とはいえ、以前にこのブログでも紹介したので、今日は簡単に説明したいと思ってます。

ネジレバネ♂(小)ネジレバネ目は、世界で約600種が記載され、南極大陸以外の大陸にすべて分布するグループです。熱帯域で非常に多様ですが、寄主がいないと生息できないため、まったくいない地域もあります。この目は多くの派生形質を有しています。そのためか、ネジレバネ目の分類学としての位置が問題(ネジレバネ問題)になっており、今までにいろいろな仮説が出てきました。とりわけ、幼虫の形態や生態がコウチュウ目ネジレバネの雌オオハナノミ科に似ていることから、コウチュウ目の1つの科で、オオハナノミ科と姉妹群を形成するとされ、そこに位置づけられたこともあります。2003年ごろに出た昆虫の全目の系統分類の論文では、前翅が偽平均昆となることから、ハエ目に近縁とされました。翅の遺伝子座が変異で入れ替わったことによるとされていますが、相同性のことを考えると私はあまり支持できないと考えています。メス成虫のことも踏まえるとかなり特殊化しているので、どの目に近縁なのかは未だ不明であると考えざるを得ません。

ネジレバネ類のオスは非常に小さく、FIT(衝突板トラップ、Flight Intercept Trap)で採集できるそうですが、普通に採集することは難しいかと思います。私も採集できたのは、メスだけでオスを普通に採集してみたいですね。写真1はネジレバネ目の一種のオス、写真2はスズメバチネジレバネのメスです。以前と同じ写真を使用しました。すみません。

 

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昆虫の分類50

熊本地震に遭われた方へお見舞い申し上げます。真夜中の強い地震は大変だったと思います。早く余震がおさまり、安心した生活がお送りできますよう祈念いたします。

キノコヒゲナガゾウムシ今日でコウチュウ目がようやく終わります。最後のグループはゾウムシ上科 Curculionoidea です。この上科にはチョッキリモドキ科 Nemonychidae、ヒゲナガゾウムシ科 Anthribidae、アケボノゾウムシ科 Belidae、オトシブミ科 Attelabidae、ミツギリゾウムシ科 Brentidae、ミナミホソクチゾウムシ科 Caridae、Ithyceridae、ゾウムシ科 Curculionidaeの8科が含まれます。科の数は少ないですが、種類としてはかなりの数を含む非常に大きなグループです。日本では森本桂博士が精力的にヒメコブオトシブミ研究をなされ、多くの新種を記載されています。森本博士に教わった方たちも精力的に研究をなされており、現在はゾウムシネットワークというものがあって、さまざま研究者たちが日本のゾウムシに関しての知見を集めています。

皆さんはゾウムシといえば鼻の長いゾウに似た甲虫という認識があるかもしれません。しかしゾウムシ科の中には太くて短い口吻を持つものもいて、原色日本甲虫図鑑Ⅳのゾウムシ科の最ミツギリゾウムシ初のほうに掲載されているものがそのグループです。養老孟司博士もこのグループが大好きで、以前甲虫学会で講演していただいたときには、学会会員の皆さんがプレゼントとして提供してました。

私もだいぶ採集していますが、種分類が難しいのであまり同定できずに置いたままのものがほとんどです。特に森林害虫として有名なキクイムシなどは分かりやすいものは別として、図鑑に掲載されているものでも同定に自信がありません。種類が多いので掲載されている種もあり、不安だらけです。

シギゾウムシこれまでLawrence & Newton (1995)の分類体系に従って科の紹介をしてきましたが、これまで独立の科であったホソクチゾウムシ科 Apionidae、キクイムシ科 Scolytidaeとナガキクイムシ科 Platypodidaeはミツギリゾウムシ科とゾウムシ科に含まれ亜科となっています。写真は上から順にキノコヒゲナガゾウムシEuparius ochlatus ochlatus (Sharp, 1891)、ヒメコブオトシブミ Phymatapoderus pavens Voss, 1926、ミツギリゾウムシ Baryrhynchus poweri Roelofs, 1879、 コナラシギゾウムシ キクイムシCurculio dentipes (Roelofs, 1874)、キクイムシの一種 Gen. et sp.、ナガキクイムシの一種 Platypus sp. です。最近、いろいろな図鑑が出版されていますが、キクイムシ亜科とナガキクイムシ亜科の図鑑が出たら売れるかもしれませんね。

キクイムシの中には、樹幹の中で菌を繫殖させながら生活するものが知られ、アンブロシア・ビートル ambrosia beetle(養菌性甲虫)とも呼ばれ、血縁度の高い個体群を形成します。いわゆるナガキクイムシ家族生活になりますね。キクイムシ類などの幼虫を狙って捕食しに来る甲虫が、その坑道にあった体型、すなわち円筒形をしているものが見られます。

非常に多様な甲虫の世界、興味をお持ちになられたらいろいろ調べて見られるのも面白いですよ。

 

 

 

 

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昆虫の分類49

熊本の地震は夜遅くの発生だったので、地震に遭われた方の安否が気遣われます。大丈夫だといいんですが。

今日はハムシ上科 Chrysomeloidea です。この上科にはホソカミキリムシ科 Disteniidae、カミキリムシ科 Cerambycidae、カタビロハムシ科 Megalopodidae、ナガハムシ科 Orsodacnidae、ハムシ科 Chrysomelidaeの5科が含まれます。すべて日本に産します。このグループは昨日お話したフ節式がP4-P4-P4となります。これはフ節が5節あるのですが、第4フ節が縮小し、すべて4節に見える偽4節(Pseudo 4 tarsomeres)を表しています。顕微鏡でじっくり見ると、先端節の基部の方に境界線があるのが分かります。

ホソカミキリホソカミキリムシ科はもともとカミキリムシ科の1亜科でしたが、カミキリムシの研究で有名な大林先生の著書では独立の科となっています。日本ではホソカミキリ Distenia gracilis gracilis (Blessig, 1872) (写真1)1種が確認されています。またカタビロハムシ科とナガハムシ科も、もともとハムシ科の亜科でしたが、独立の科に昇格しています。写真2がカタビロハムシ Colobaspis japonicus (Bary, 1873)、写真3がクロナガハムシ Orsodacne arakii Chujo, カタビロハムシ1942です。

カミキリムシ科はかなりの数の愛好家がいらっしゃるようで、海外のカミキリムシを収集されていた方が、昆虫館に寄贈してくださった標本は、非常に充実したもので美麗種もきちんと収めてありました。ハムシ科も同様に日本産でも美麗種が多くあります。しかしながら色彩変異も多くあり、ぱっと見ただけでは同定できないものもあります。

その中でも三重県の方で東南アジアで採集される有名なモモブトハムシ類が侵入しています。クズに虫こぶを作る種です。どのような経緯で侵入してきたかは分かりませんナガハムシが、私も三重県在住の研究家にいただきました。金属光沢の綺麗な種です。

写真4はドロノキハムシ Chrysomela populi Linnaeus, 1758で、漫画家・手塚治虫氏の学生時代に採集した標本の中に同じ種類のものがありました。手塚治虫氏が学生時代に昆虫採集していたのは有名な話ですが、現在も豊中市が保管しているはずです。私も採集品を見たのは、昆虫館勤務時代に協同で展示をするときに同定をするために見たのが初めてでした。保存状態も良好でした。

カミキリムシ・ハムシは植物を食する昆虫なので、街中から山手のほうまで見ることが出来ます。街の中で見るカミキドロノキハムシリムシはゴマダラカミキリ Anoplophora malasiaca (Thomson, 1895)ぐらいですけども、海外や日本産の別の種類が、木製の家具から出てくることもありますので輸入家具にはご注意ください。

最後に、貯穀害虫が含まれるマメゾウムシ科は現在ハムシ科に含められ、マメゾウムシ亜科 Bruchinaeを形成しています。以前にアズキマメゾウムシ Callosoburchus chinensis (Linnaeus, 1758)をブログで書いていますので、写真はそちらをご覧ください。

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昆虫の分類48

今朝もどんよりしてますね。少しは晴れてくれるでしょうか。でも日曜日は雨の予報が出てまして、どこかへ出かけようかと思ってましたが、論文を書くのに集中することにします。

今日はゴミムシダマシ上科 Tenebrionoidea です。このグループも多様で、もとは異節群 Heteromera と呼ばれてました。甲虫の分類でよく使われるのがフ節式で、前脚・中脚・後脚のフ節の数を示したものがあり、テキストや科の概説書には3-3-3とか5-5-5とか書かれています。たいていの昆虫はフ節の数は等しく5節あるのですが、ゴミムシダマシ上科には後脚フ節の数が4節となり、フ節式は5-5-4と書かれている種類が多く含まれています。

ヒゲブトコキノコムシゴミムシダマシ上科にはコキノコムシ科 Mycetophagidae、ムカシゴミムシダマシ科 Archeocrypticidae、Pterogeniidae、ツツキノコムシ科 Ciidae、キノコムシダマシ科 Tetratomidae、ナガクチキムシ科 Melandryidae、ハナノミ科 Mordellidae、オオハナノミ科Rhipiphoridae、コブゴミムシダマシ科 Zopheridae、Ulodidae、Perimylopidae、Chalcodryidae、Trachelostenidae、ゴミムシダマシ科 Tenebrionidae、デバヒラタムシ科 Prostomidae、ヒラタナガクチキムシ科 Synchroidae、カミキリモドキ科 Oedemeridae、クビナガアカバコキノコムシダマシムシ科 Stenotrachelidae、ツチハンミョウ科 Meloidae、ホソキカワムシ科 Mycteridae、ツヤキカワムシ科 Boridae、クワガタモドキ科 Trictenotomidae、キカワムシ科 Pythidae、アカハネムシ科 Pyrochroidae、チビキカワムシ科 Salpingidae、アリモドキ科 Anthicidae、ニセクビボソムシ科 Aderidae、ハナノミダマシ科 Scraptiidaeの30科が含まれます。前回多くの写真を組み込んだのですが、編集画面とHPの画面とではまったく違ってしまったので、あんまり多く並べると困ったことになってしまいました。ご覧になっている方々には申し訳ありませんでした。ですからあまオオハナノミの一種(ベトナム)2り眼の付かない甲虫に関して写真を見せることにしようと思ってます。

ゴミムシダマシ上科では、甲虫図鑑Ⅲに掲載されていて、かつて独立の科となっていたものが近縁の科の亜科に降格してしまったものがあります。ホソカタムシ科の一部・タマムシモドキ科はコブゴミムシダマシ科に、ハムシダマシ科・クチキムシ科はゴミムシダマシ科に移動しています。その他にも、和名として科の名前が付くのが普通ですが(例:~ヒメハナノミなど)、和名が定着してから他の科に移りややこしデバヒラタムシくなっているものもあります。例えばクビカクシナガクチキムシ Scotodes niponicus Lewis, 1895は現在クビナガムシ科に含まれています。ですから、和名だけで判断すると痛い目にあうことがあります。

写真は上から順番にヒゲブトコキノコムシ Mycetophagus antennatus (Reitter, 1879)、アカバコキノコムシダマシ Pisenus insignis (Reitter, 1889)、オオハナノミの一種 Gen. et sp. [ベトナム北部産]、デバヒラタムシ Prostomis latoris Reitter, 1889、ホソキカワムシ Hemipeplus miyamotoi H. ホソキカワムシKamiya, 1961、クワガタモドキの一種 Trictenotoma sp. [タムダオ(ベトナム北部)産]、オオキカワムシ Phyto nivalis Lewis, 1888です。

先にも述べましたように、ゴミムシダマシ上科は多様なグループが多いので、整理するのも大変です。

 

 

クワガタモドキ

オオキカワムシ2

 

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昆虫の分類47

昨日は朝は冷え込みましたが、陽が登ると暖かくなりました。寒さもこれまでと予報士の方が言っていたので、一安心ですが、今年はエル・ニーニョ現象が終わったらこんどはラ・ニーニャ現象が起こり、酷暑になるといわれてます。従来どおりかもしれませんが、気をつけないといけませんね。

前回ヒラタムシ上科は大所帯なので、残りの写真を追加しますといってました。追加しますが、やっぱり多すぎる・・・。その他の系統にも多く出現する形質なのですが、触角の先端3節ほどが大きくなり、球桿 Club を形成するものが多く、その形状によって度の科に属するかというおよその見当が付くときもあります。上から、ヨツボシオオキスイ Helota gemmata Gorham, 1874(オオキスイムシ科)、ヒラムネホソヒラタムシ Protosilvanus lateritius (Reitter, 1878)(ホソヒラタムシ科)、ツツヒラタムシ Ancistria apicalis Reitter, 1889(ツツヒラタムシ科)、ルリヒラタムシ Cucujus mniszechi Grouvelle, 1874(ヒラタムシ科)、オオキバチビヒラタムシ Nipponophloeus dorcoides (Reitter, 1874)(チビヒラタムシ科)、ヘリムネキスイ Caenoscelis kurosai Sasaji, 1987(キスイムシ科)、オオキノコムシ Eucaustes praenobilis Lewis, 1883(オオキノコムシ科)、ズグロキスイモドキ Byturus atricollis Reitter, 1874(キスイモドキ科)、ムクゲキスイムシの一種 Biphyllus sp. (ムクゲキスイムシ科) 、クロサワオオホソカタムシ Dastarcus kurosawai Sasaji, 1986(ムキヒゲホソカタムシ科)、カクホソカタムシ Cerylon sharpi Nakane, 1963(カクホソカタムシ科)、クロミジンムシダマシ Aphanocephalus hemisphericus Wollaston, 1873(ミジンムシダマシ科)、チャバネムクゲテントウダマシ Stenotarsus chrysomelinus Gorham, 1887(テントウムシダマシ科)、カメノコテントウ Aiolocaria hexaspilota (Hope, 1831)(テントウムシ科)、ベニツヤミジンムシ Parmulus politus (Matthews, 1899)(ミジンムシ科)、ヒメマキムシ Stephostethus chinensis (Reitter, 1877)(ヒメマキムシ科)となってます。読みにくくなってすみません。

ヨツボシオオキスイヒラムネホソヒラタムシツツヒラタムシルリヒラタムシオオキバチビヒラタムシヘリムネキスイオオキノコムシズグロキスイモドキナガムクゲキスイ

クロサワマダラオオホソカタムシカクホソカタムシクロミジンムシダマシチャバネムクゲテントウダマシカメノコテントウベニモンツヤミジンムシヒメマキムシ

でもいろいろ研究すると面白いことが見つかるグループでもあります。一度いろいろ採集してみてください。

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昆虫の分類46

このブログの写真を撮るのと出来れば展示をしたいので、標本整理を行っていますが、なかなか終わりが来ません。昨日も家にある標本を見てみるとまだまだ邦産の甲虫が出てきてしまいました。液浸のものを含め、まだまだ終わりそうにありません。

クリイロヒメキノコムシさて今日はヒラタムシ上科 Cucujoidea になります。しかしこの上科と続くゴミムシダマシ上科 Tenebrionoidea には多くの科が含まれます。最近の論文ではテントウムシ上科 Coccinelloidea が創設されたりして、いろいろと研究が進んで整理がなされるんではないでしょうか。まだ論文が出版されたところなので、支持されるかどうかは今後の研究によるでしょう。ヒラタムシ上科にはムカシヒラタムシ科 Protocucujidae、ヒメキノコムシ科 Sphindidae、ヒゲボソケシキスイ科 Brachypteridae、ケシキスクロヒラタケシキスイイ科 Nitidulidae、Smicripidae、ネスイムシ科 Monotomidae、Boganiidae、オオキスイムシ科 Helottidae、Phloeostichidae、ホソヒラタムシ科 Silvanidae、ツツヒラタムシ科 Passandridae、ヒラタムシ科 Cucujidae、チビヒラタムシ科 Laemophloeidae、ミジンキスイムシ科Proplactidae、ヒメハナムシ科 Pharacridae、Hobartiidae、Cavognathidae、キスイムシ科 Cryptophagidae、Lamingtoniidae、オオキノコムシ科 Erotylidae、キスイモドキ科 Byturidae、ムクゲキスイムシヤマトネスイ科 Biphylidae、ムキヒゲホソカタムシ科 Bothrideridae、カクホソカタムシ科 Cerylonidae、テントウモドキ科 Alexiidae、ミジンムシダマシ科 Discolomatidae、テントウムシダマシ科 Endomychidae、テントウムシ科 Coccinellidae、ミジンムシ科 Corylophidae、ヒメマキムシ科 Lathridiidaeの合計30科という大所帯です。形態的にも生態的にも多様であり、見慣れない甲虫の場合には甲虫図鑑Ⅲを見てみるということにしていましたが、最近ではようやく分かるようになって来ました。ここら辺は経験と慣れが必要になってきます。写真は上からクリイロヒメキノコムシ Sphindus castaneipennis Reitter, 1878、クロヒラタケシキスイ Ipidia variolosa Reitter, 1879、ヤマトネスイ Rhizophagus japonicus Reitter, 1884です。今回紹介した甲虫の記載者はすべてE. Reitter氏であり、「Fauna Germanica Die Käfer des Deutschen Reiches」[5 Bände] (1908 – 1917) を著したオーストリアの昆虫学者・収集家・標本商です。この本は非常に精密な甲虫の図譜があり、インターネットで画像が出てますので、一度見てみてください。他の科の写真は次回に掲載する予定です。多すぎますんで・・・。

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昆虫の分類45

雨が上がると少し寒くなってました。またサクラもだいぶ散ってしまいました。花びらまみれの車もちらほら見かけました。私に花見をする習性はありませんが、なんとなくさびしい感じがします。

オオコクヌスト今日はカッコウムシ上科 Cleroidea です。カッコウムシ上科に含まれるのは、Phloiophilidae、コクヌスト科 Trogossitidae、Chaetosomatidae、カッコウムシ科 Cleridae、Acanthocnemidae、Phycosecidae、ホソジョウカイモドキ科 Prionoceridae、ジョウカイモドキ科 Melyridaeの8科です。この上科には貯穀害虫としてコクヌスト(穀盗人)が有名です。写真1はオオコクヌスト Trogossita japonica Reitter, 1875で、以前に紹介したヒョウタンゴミムシと間違える人が多いようで、博物館のヒョウタンゴミムシの標本群に混じっていたことがあります。

シロモンケシカッコウムシカッコウムシ類は一部捕食性のものもいますが、花粉食と考えられています。幼虫は大半が朽木に生息し食材性甲虫の幼虫類を捕食しますが、サビカッコウムシ類はキノコ・貯穀・食品・タバコの葉を、ホシカムシ類(干鰯蟲)は動物の死体や乾燥植物質を食べるので、家屋害虫とされてます。でもホシカムシ類は採集したことがないですね。写真2はシロモンケシカッコウムシ Coptoclerus gressitti Miyatake, 1985です。これは石垣島で採集したものです。今はオモト岳も採集が制限されていて、ライトトラップでいろいろ採集した頃が懐かしいですね。

ヤエヤマホソジョウカイモドキ写真3はヤエヤマホソジョウカイモドキ Idogia flavicollis Redtenbacher, 1868です。元々はジョウカイモドキ科に含められていましたが、現在は細ジョウカイモドキ科に昇格しました。私の母校である大阪府立大学に預かって貰ってますが、研究のために調査しに行かないとなぁ。琉球の甲虫の採集物だけでドイツ型標本箱が5~6箱あったと記憶してます。整理したのでそうなってるんですけどね。隙間をつめたら4箱ぐらいに落ち着くんではないでしょうか。しかし今手元にあるものだけでも50箱以上あるので、何時になることやら・・・。

ツマキアオジョウカイモドキ最後はよく見かけるツマキアオジョウカイモドキ Malachius prolongatus Motschulsky, 1866です。よくジョウカイボン科とジョウカイモドキ科の区別点について聞かれることがありますが、専門的なので一般の方には難しいかもしれません。見る部分は、前頭-頭楯縫合線、上唇、爪です。区別点を一応書いておきますね。

ジョウカイボン科は、前頭-頭楯縫合線がある、上唇は膜質で、部分的に頭楯の下に隠れる、爪に膜質状付属物がない。ジョウカイモドキ科は、前頭-頭楯縫合線がない、上唇はキチン化され全体が露出する、爪に膜質状付属物がある、というのが区別点です。

 

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昆虫の分類44

今朝は朝早くから雨が降っていやな天気ですね。一日中降る予報になってますが、サクラが散ってしまう花散らしの雨になるんですかね。

クシヒゲツツシンクイ今日からヒラタムシ系列 Cucujiformia になります。まずはツツシンクイ上科 Lymnexyloidea です。この上科はツツシンクイ科 Lymnexylidae だけで構成されます。体型は細長い円筒形で、鞘翅もですが全体的にキチン化が弱く、軟弱な甲虫です。後翅は横に折られることなく縦方向にだけ畳み込まれます。体型的にそうなってしまうんでしょう。日本産にはコバネツツシンクイ Arractocetus nipponicus (Nakane, 1984) という種がいて、鞘翅が短くなっています。この種は枯木の周辺をハチのように飛び回るのが観察されています。産卵のためと思います。

ムネアカホソツツシンクイ写真1はクシヒゲツツシンクイ Hylecoetus flavellicornis (Schneider, 1791)、写真2はムネアカホソツツシンクイ Lymnexylon ruficolle Y. Kurosawa, 1949、写真3はオオメツツシンクイ Melittoma oculare (Nakane, 1963) です。私は採集したことがありません。カミキリムシを狙う人はよく採集してらっしゃるかもしれませんね。というのもツツシンクイ類は針葉樹・広葉樹のどちらの伐木に来るものや、ブナ科やシイの伐木などに来るものが知られているからです。カミキリムシも同様で、カミキリムシを採集する人は、そういうところを見て回るので出会うチャンスはずっと高いでしょう。私はどちらかというと、採集は落ち葉ふるいなどがメインなので・・・。

 

オオメツツシンクイツツシンクイ類は原色日本甲虫図鑑Ⅲに掲載されていますが、オスの標本はあまり採れないことが書かれています。メスとの習性が違うことからみたいですが、採集してみたいですね。

しかし今回は細長い種類ばっかりなので、文書欄が間延びしてしまってます。ごめんなさい。

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