熊本の地震は夜遅くの発生だったので、地震に遭われた方の安否が気遣われます。大丈夫だといいんですが。
今日はハムシ上科 Chrysomeloidea です。この上科にはホソカミキリムシ科 Disteniidae、カミキリムシ科 Cerambycidae、カタビロハムシ科 Megalopodidae、ナガハムシ科 Orsodacnidae、ハムシ科 Chrysomelidaeの5科が含まれます。すべて日本に産します。このグループは昨日お話したフ節式がP4-P4-P4となります。これはフ節が5節あるのですが、第4フ節が縮小し、すべて4節に見える偽4節(Pseudo 4 tarsomeres)を表しています。顕微鏡でじっくり見ると、先端節の基部の方に境界線があるのが分かります。
ホソカミキリムシ科はもともとカミキリムシ科の1亜科でしたが、カミキリムシの研究で有名な大林先生の著書では独立の科となっています。日本ではホソカミキリ Distenia gracilis gracilis (Blessig, 1872) (写真1)1種が確認されています。またカタビロハムシ科とナガハムシ科も、もともとハムシ科の亜科でしたが、独立の科に昇格しています。写真2がカタビロハムシ Colobaspis japonicus (Bary, 1873)、写真3がクロナガハムシ Orsodacne arakii Chujo, 1942です。
カミキリムシ科はかなりの数の愛好家がいらっしゃるようで、海外のカミキリムシを収集されていた方が、昆虫館に寄贈してくださった標本は、非常に充実したもので美麗種もきちんと収めてありました。ハムシ科も同様に日本産でも美麗種が多くあります。しかしながら色彩変異も多くあり、ぱっと見ただけでは同定できないものもあります。
その中でも三重県の方で東南アジアで採集される有名なモモブトハムシ類が侵入しています。クズに虫こぶを作る種です。どのような経緯で侵入してきたかは分かりませんが、私も三重県在住の研究家にいただきました。金属光沢の綺麗な種です。
写真4はドロノキハムシ Chrysomela populi Linnaeus, 1758で、漫画家・手塚治虫氏の学生時代に採集した標本の中に同じ種類のものがありました。手塚治虫氏が学生時代に昆虫採集していたのは有名な話ですが、現在も豊中市が保管しているはずです。私も採集品を見たのは、昆虫館勤務時代に協同で展示をするときに同定をするために見たのが初めてでした。保存状態も良好でした。
カミキリムシ・ハムシは植物を食する昆虫なので、街中から山手のほうまで見ることが出来ます。街の中で見るカミキリムシはゴマダラカミキリ Anoplophora malasiaca (Thomson, 1895)ぐらいですけども、海外や日本産の別の種類が、木製の家具から出てくることもありますので輸入家具にはご注意ください。
最後に、貯穀害虫が含まれるマメゾウムシ科は現在ハムシ科に含められ、マメゾウムシ亜科 Bruchinaeを形成しています。以前にアズキマメゾウムシ Callosoburchus chinensis (Linnaeus, 1758)をブログで書いていますので、写真はそちらをご覧ください。