昆虫の分類5

明日は気圧配置の移動により嵐になるそうです。いややなぁ、明日は山の中での仕事なのに・・・。

今日は分類の話の5回目、シミ目 Ztgentoma についてお話します。このシリーズ、すべての目についてお話しようと思っているので、33回ぐらいあると思います。地球上の全生物の67%が昆虫ですから、一番多様なグループであるといえます。

20150410092027シミ目は上から押し付けられたように平べったく、銀色の鱗粉を体全体にまとっています。このことから英語では Silverfish と呼ばれてます。上から見ると「しずく」のような形をしていて、湿気の多いところを好みます。繊維質・乾物を好んで食べる雑食性で、衣類・書籍・穀物などの害虫としても知られます。紙類を雲形の孔をあけたりしますが、貫通することはないので、これはフルホンシバンムシの仕業と考えてよいでしょう。昨日お話したように、イシノミ目は大顎の関節丘が1つでしたが、このシミ目からあとのグループは、大顎の関節丘が2つになります。イシノミ目までは大顎の動きがインク壺に指したペン軸のような動きをしますが、シミ目からは2点で固定されるため、左右に開くことしか出来ませんが、より強力な咬む力を獲得したことになります。

シミ目は小さなグループで、約500種程度しか記載されていません。屋内でよく見かけるのですが、実際には野外にも多く生息し、アリの巣などにも寄生しています。多くの原始的な形質を残しているので、昆虫の進化の研究の材料としても役立っています。日本にはいませんが、ムカシシミ科 Lepidotrichidae の Tricholepidion gertschi (Wygodzinski, 1961)がアメリカ・カリフォルニア州のダグラスモミ原生林に生息し、この種はバルチック琥珀の中に化石としても出土している古代からの現生種として有名です。

日本でよく見かけたのはヤマトシミ Ctenolepisma villosa (Fabricius, 1775) でしたが、だいぶ前からセイヨウシミ Lepisma saccharina Linnaeus, 1758 が優勢になっているとのことです。

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昆虫の分類4

今朝は一段と冷え込みました。バイクや自転車で通ってる人は大変だったかもしれません。インフルエンザはまだ流行していませんが、寒くなってきたので、ご用心ください。

オカジマイシノミ?今日はイシノミ目 Archaeognatha についてお話します。このグループは、古顎目と呼ばれ、大あごの関節丘が1つしかないことでシミ目 Zygentoma と分けられました。以前はイシノミ類とシミ類を合わせて Thysanura という目でしたが、シミ類の大あごの関節丘が2つであることから、分けるのが妥当とされています。

イシノミ目は体長20mm未満の紡錘形で翅はなく、細長い触角と1本の長い尾糸、それよより短い尾毛があります。世界で約500種が記載され、小さなグループですが、広い生息域を示し、標高5000mの山や極地方、海岸や湖岸、熱帯雨林などにも生息しています。生息環境は日陰の乾燥した岩壁に住み、ほぼ同じ場所で生活します。成長は遅く、孵化した幼虫はそのまま越冬し、翌春に成長を再開して約2ヵ月後に成虫になるそうです。成虫期間は1年以上あるので成虫で冬越しもします。主食は陸生藻類です。森の近くで調査している場合には、粘着トラップに入ってくるかも知れませんが、人間に害はないのでご安心ください。

写真はオカジマイシノミ Pedetontus okajimae Silvestri, 1943 かなと思ってます。葉きり同定していないので、ご了承ください。

 

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昆虫の分類3

Komushi今日はコムシ目 Doplura についてお話しようと思います。コムシ目は朽木や落ち葉、石の下や土壌中に生息し、体は細長く白色で、2本の尾糸があります。この尾糸の様子から、かつては「双尾目」や「倍尾目」と呼ばれていました。食性は雑食性ですが、ナガコムシ類は植物遺体や菌糸を、ハサミコムシ類は動物を好み、トビムシ目やナガコムシ類、その他の昆虫の幼虫を捕食します。私も大学時代の研究で土壌を採集したときにわずかしか採集できませんでした。そのときのコムシ類は70%エタノールの中で保存していますが、かなり劣化して来ました。コムシ目の分類や生態の研究が進んでいないのが現状で、日本のものを誰か解明してほしいなぁ、と思ってます。

コムシ目はトビムシ目、カマアシムシ目の3目が内顎亜綱 Entognatha に含まれます。口器が頭蓋から露出しないことでまとめられていますが、内顎亜綱は研究者によっては昆虫ではないとして「偽昆虫綱」とも呼ばれます。私が大学生の頃は昆虫に含まれてましたが、今の大学ではどのように教えてるんでしょう?少し気になるところではあります。今回は写真ではなく、標本から書いた絵ですみません。

 

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昆虫の分類2

今日はかなり冷え込みますね。日本海側などは雪になっているところもあるようです。

さて前回はカマアシムシ目について書かせていただきましたが、今日はトビムシ目 Collembora です。体長は小さいものが多く、0.3~5.0mm程度です。代表的なトビムシ目は触角が4節で、個眼が8個集まって小さな眼を形成します。この数は退化して少なくなることもありますが、8個より多くはならないそうです。腹部末端にはトビムシ目特有の跳躍器があり、叉状器とよばれY字型になっています。叉状器は後に露出しているのではなく、その前の節にある保体で引っかかった状態で前方にたたみこまれています。刺激を受けると保体から外れ、ピョンピョン跳ねます。腹部に粘管があることから、昔は「粘管目」と呼ばれていました。

ベニイボトビムシ全世界に約3500種、日本では約400種ほどが確認されていますが、種までの同定が困難なグループの1つです。写真はイボトビムシの仲間で、ザウテルアカイボトビムシかなぁ、と思っていますが、はっきりと同定は出来ていません。トビムシ目は普段は土壌中に生息するものですが、プランターや植木鉢、靴に付着して建物内に侵入することがあり、屋内のトラップにかかっていることもしばしばです。原始的な昆虫と考えられますが、南極地方からも見つかっており、ほぼ全世界に分布するグループです。

また、昆虫が地球上に現れたのは4億年前とされていますが、これはスコットランドの4億年前の Rhynie chart から発見された化石、トビムシ目の Rhyniella praecursor Hirst et Maulik, 1926 が基になっています。トビムシ目やカマアシムシ目などの昆虫は外皮のキチン化が弱く、化石として残りにくいので、奇跡といえるでしょう。

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昆虫の分類

今日から少し昆虫のグループについて書こうと思ってます。生物の分類は、古代ギリシアのアリストテレスがある程度の分類を行っていたようです。といっても、ネコやイヌ、ゴキブリ、ノミ、ハエなど大まかなものです。その後、1758年にスウェーデンのリンネが分類体系を確立し、二名法を用いて種を表し、今でも引き継がれています。二名法は原則ラテン語もしくはギリシア語に変化させたものを用い、属名と種小名で表されます。例として、ネコ(イエネコ)はFelis silvestris (Linnaeus, 1758)が学名で、野生の猫という意味になります。ですから、古くから認識されていたもののなかでは、ラテン語でイヌのことをCanis、ネコのことをFelis、ハエのことをMuscaといい、それぞれの学名の属名になっています。昆虫の分類はLinnaeusやFaburicius によって多くの種類が記載されました。いまなお、1日に2種ぐらいのペースで新種が記載されるほど多くの未記載種が昆虫には残っています。

カマアシムシ1現在、昆虫は33目に分類されています。そのうち、3目は「側昆虫綱(偽昆虫綱)」とされ、昆虫に含めない研究者もいます。今日はその3目のうちの1つ、カマアシムシ目 Protura (写真1)についてお話します。

カマアシムシ目は、土壌中に生息する無変態で翅のない昆虫で、触角もありません。少し見難いですが写真2のように前脚を鎌のように振り上げて触角の代わりカマアシムシ2にしていることから、カマアシムシと呼ばれるようになりました。それまでは洞窟性の昆虫やトビムシなどの研究をしていた吉井良三博士にちなんでヨシイムシと呼ばれていました。分類には体表面や前脚などに生えている刺毛の配列で分類されるようです。世界には731種が記載されています。

日本には約60種程度が記載されていますが、現在分類できる人は2~3人程度で少ないでしょう。私は採集しても分類できない状態です。高性能の顕微鏡が欲しいなぁ。小さいと視野の光量が減るので、高倍率でも明るい顕微鏡がいいですね。

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ホウセキゾウムシ

今朝はかなり寒かったですね。電車の中ではかなり咳き込んでいる人もいらっしゃったので、皆様もお気をつけください。

ホウセキゾウムシの一種このお正月には、義兄とその子供さんと私の家族で橿原市昆虫館に行ってきました。リニューアルしてから2回目ですが、学術的なスタンスもあれば子供目線でも展示がしてあって非常に面白い展示になっています。私は館長や学芸員の方と知り合いなのでお話をしていましたが、子供たちはイベントで昆虫カルタ大会に参加していたそうです。帰りに子供たちは3D紙工作を買ったり、キーホルダーを買っていました。キーホルダーはアクリル樹脂に埋包されたホウセキゾウムシだったのですが、ホウセキゾウムシやったら家にあるのに、と思ってしまいました。キーホルダーを作るのは難しいので、口にはしませんでしたが。

これまでにシリーズで「世界の甲虫」という図鑑が刊行されていますが、カミキリムシやカブトムシの仲間など、人気のある種類がほとんどです。フランス語で書かれているので、辞書を片手に読み進めないといけません。その中にはホウセキゾウムシもあります。しかし、その図鑑を見ても種類が分からないものがあり、まだまだ種類が増えそうな気がします。興味のある方は一度インターネットなどで調べてみてください。

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ハネカクシ

最近は天気がいまいちで、陽が当たらないので少し寒く感じます。

今、私は家で3月に甲虫学会大阪例会で発表しようと思っている「箕面の甲虫」について調査しています。箕面の昆虫目録は昭和7年(1932年)に大阪府から出版された「名勝箕面山 大阪府史跡名勝天然記念物調査報告 第二輯」に掲載されたものがあります。これは戸澤信義氏(後の宝塚昆虫館館長)が作成したもので、約2000種の昆虫リストが掲載されていました。その後、大阪府農林部により昭和40年(1965年)に発行された「山地利用資料5 箕面山の動物相調査」にも名だたる研究者たちがリストを作成していましたが、戸澤氏の目録を追加改正したもので、一部のグループは省略されていました。これ以降、箕面の昆虫のリストが発行されたことはまったくありません。

箕面のハネカクシ1私が箕面公園昆虫館に在籍していたときに(今も週1回通っていますが)、改訂版を作成しようと思ったのがきっかけで、せっせと採集や記録をしていましたが、纏められていないままでした。最近では分類が変更されたものもあり、それの確認作業も進めています。コケムシ科もハネカクシ科に含められて亜科に降格したのでかなり多くなってます。家に帰ってからの作業なので、あまり進んでいません。

箕面のハネカクシ2その中でも難敵はハネカクシやゾウムシです。写真はハネカクシの標本の一部ですが(まだドイツ箱にもあります)、小さいものが多くて区別点も細かいので顕微鏡は必須です。ハネカクシやゾウムシは分類が進んでいないグループもあり、相当骨が折れる作業です。ハネカクシやゾウムシには未記載種が多く含まれているため、どないしたもんかいなと考えているところです。幸い、学会にはさまざまな専門家がいますから、ある程度まとめて、専門家の意見を聞こうということにしようと思ってます。

これと並行して鳥の巣から得られた甲虫類も論文にしないといけません。ちょっとしんどい今日この頃です。

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謹賀新年

2016年お飾り皆様、明けましておめでとうございます。旧年中はお世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。

今年もシロアリ防除や害虫・害獣駆除、異物混入検査、耐震診断やリフォーム、ハウスクリーニングなど、さまざまな分野で皆様の安心と信頼をいただけますよう邁進してまいりますので、よろしくお願いいたします。

2016年1月 株式会社ハウスドクター

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年末年始休業のお知らせ

今年も残りわずかになりました。本年も当社をご愛顧いただき、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。また、このブログも読んでいただきありがとうございました。来年からはもっと面白いものを書くことを心がけようと思います。

2015年12月カレンダーさて、年末年始休業の日程を再度お知らせいたします。

平成25年12月29日(火)から平成26年1月4日(月)まで、当社はお休みをいただきます。ご不便をお掛けいたしますが、よろしくお願いいたします。

皆様、よいお年をお過ごしください。

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ネジレバネ

子供達がかかっていた風邪をもらったかもしれません。鼻とのどの調子が少しおかしくて寝不足です。体調管理をきちんとしないと。

ネジレバネ♂(小)さて、今日は少し変わった昆虫を紹介します。ネジレバネ目の昆虫で、オスを見るのは今回で2度目です。粘着トラップにかかっていました。写真はそこから灯油ではがすときに撮影したものです。気泡があり見にくいかも知れませんが、ご了承ください。ネジレバネ目の昆虫は非常に変わった昆虫です。オスは前翅が退化して偽平均棍となり、後翅で飛翔します。研究している方以外は、あまり目立たなくて採集したことが少ない昆虫かもしれません。私も自分で採集したことがあるのはメスだけです。オスの形態や幼虫の形態がコウチュウ目オオハナノミ科に似ており、ネジレバネ類はコウチュウ目の一員になった過去もあります。

オスは自由行動をとりますが、雌は幼虫形態のまま成虫となります。これをネオテニーといいますが、他の昆虫に寄生したままで一生を終えます。

ネジレバネの雌よく見かけられるのは、スズメバチに寄生しているものでしょう。腹部がいびつな形状をしていると、だいたい寄生されています。また、寄生されたスズメバチは死んでしまうとネジレバネも生きてはいけないので、生殖することが出来ず、寿命が延びます(これをスティロピゼーション Stilopization といいます)。つまりスズメバチは飼い殺しになるわけです。写真はキイロスズメバチに寄生していたメスを解剖で摘出したものを標本にしました。寄生している状態では、節の間から頭が見えるだけで体は完全に隠れています。ですから、オスは花などで待ち伏せをして、寄生されているスズメバチが近寄ってきたときにすかさず交尾をします。腹部末端が隠れているので、交尾できないと思うかもしれませんが、体にいくつも生殖孔が開口していますので、交尾できないことはありません。皆さんも秋あたりのスズメバチをいくつも採取してみると雌が見れるかもしれません。

でも一度生きたオスを採取して展翅してみたいなぁ、と考えています。

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