昆虫の分類34

かなり冷え込みましたねぇ。昨日の夕食は鍋にしました。そのせいかどうかは分かりませんが、今朝の玄関あたりの結露はひどかったです。結露がひどいとカビが発生しますので、皆様もお気をつけください。

DSCN2672今日はコウチュウ目多食亜目ハネカクシ系列のお話です。ハネカクシ系列にはガムシ上科 Hydrophiloidea とハネカクシ上科 Staphylinoideaが含まれます。ガムシ上科にはガムシ科 Hydrophilidae、エンマムシダマシ科 Sphaeritidae、エンマムシモドキ科Synteliidae、エンマムシ科 Histeridaeの4科が含まれます。ガムシ科には陸生と水生のものがいます。陸生のものは落ち葉の中や動物のフンで見ることが出来ます。触角よりも小あごひげのほうが長く、一般の方には逆に見てしまうでしょう。ガムシ科の触角は第9節が杯状になっており、これは水生の種が水面から空気を取り入れるときに水面の表面張力を破るためのものとわかっています。空気を取り入れた後は、体の下面に細かい毛があり、ここに空気を捕まえておいて呼吸します。これをプラストロン呼吸といいます。ゲンゴロウは鞘翅と腹部の間に空間があり、そこに空気をためておき、アクアラングのように呼吸をしています。

DSCN2669エンマムシダマシ科は日本から1種しか確認されていません。その唯一の種、エンマムシダマシ Sphaerites glabratus Fabricius, 1792 は北海道の大雪山と利尻島からしか見つかっていません。またエンマムシモドキ科もエンマムシモドキ Syntelia histeroides Lewis, 1882 ただ1種が確認されています。私はエンマムシモドキを九州で1個体採取したことがあるだけです。エンマムシ科は現在約3800種が世界から確認されており、日本からは114種が知られています。エンマムシ類は、アリの巣・動物のフン・海岸のゴミの下などから見出されます。写真1と2は、土壌中から採取されたアカツブエンマムシ Bacanius niponicus Lewis, 1879 だと思います(ちゃんと確認が出来ていません)。北海道大学総合博物館の大原博士の話によると、日本産Bacanius属には新種が混じっている可能性があり、大原博士も現在調査中だとのことです。採取してきてとりあえずリンゴを入れてみたのですが、リンゴ自体を齧っているような雰囲気はありませんでした。クロバネキノコバエなどの幼虫でも発生していたら、と勝手に予想してます。

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昆虫の分類33

今朝も寒かったですね。昨日はいろいろとあって少し疲れてます。

DSC_0377今日はコウチュウ目の多食亜目 Polyphaga です。この亜目には非常に多くの甲虫類が含まれており、義務分類単位ではないのですが、系列 Series というものを著名な甲虫分類学者は設けてます。これらは高次分類についての論文で見かけられる程度です。写真は輝く甲虫をいろいろ詰め合わせた標本箱です。箕面公園昆虫館で展示してますので、気になる方は見に行ってくださいね。

系列とそれらに含まれる上科を以下に示します。

ハネカクシ系列 Staphyliniformia ガムシ上科、ハネカクシ上科

コガネムシ系列 Scarabaeiformia コガネムシ上科

コメツキムシ系列 Elateriformia マルハナノミ上科、ナガフナガタムシ上科、タマムシ上科、マルトゲムシ上科

ナガシンクイ系列 Bostrichiformia マキムシモドキ上科、ナガシンクイ上科

ヒラタムシ系列 Cucujiformia ツツシンクイ上科、カッコウムシ上科、ヒラタムシ上科、ゴミムシダマシ上科、ハムシ上科

次回からは各系列でお話をしようと思ってます。コウチュウ目は種類が多いことからでしょうか、趣味にされる方が非常に多く、特定のグループを集める人もいらっしゃいます。とりわけ、昨日お話したオサムシ類やカミキリムシ類などは美麗種がそろっているので、よく集めてらっしゃいます。種類が多いので同定には図鑑が必須となります。現在日本では保育社の「原色日本甲虫図鑑」(I~IV巻)が販売されており、今のところ網羅されたものでは一番いいのではないでしょうか。しかし初版が1985年のものなので、情報が古いところもあります。今販売されているものは部分的に改定されていますが、刷新しないといけないかもしれません(でも多くの人は高齢者になりつつあるからなぁ・・・)。

 

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昆虫の分類32

いい天気で日中はぽかぽかしたいい陽気になるのではないかと思ってます。火曜日は実家のサクラにミツバチやハナアブがぶんぶん飛んできてました。昆虫採集シーズン到来ですね。

ニジカタビロオサムシ今日はコウチュウ目の肉食亜目 Adephaga のお話です。肉食亜目は後脚の基節が後胸腹板に固着していることも特徴の一つです。肉食亜目にはミズスマシ科 Gyrinidae、コガシラミズムシ科 Haliplidae、ムカシゴミムシ科 Trachypachidae、コツブゲンゴロウ科 Noteridae、オサムシモドキゲンゴロウ科 Amphizoidae、ゲンゴロウダマシ科 Hygrobiidae、セスジムシ科 Rhysodidae、オサムシ科 Carabidae、Meruidaeの9科が含まれます。これまで独立の科とされてきたハンミョウ科、ゴミムシ科などは幼虫の形態からオサムシ科の亜科に降格されました。

写真はニジカタビロオサムシ Calosoma sycophanta (Linnaeus, 1758) です。ヨーロッパに分布するオサムシで、マイマイガの幼虫などを食べます。オサムシ類は飛べずに歩くものと考えている人が多いですが、真正オサムシ群だけで、ゴミムシなどは飛べます。肉食亜目の9科のうち、ほとんどが肉食で水の中か水際に生息し、陸生のものから水生に進化したのか、はたまたその逆なのかという議論がなされてます。後脚が腹板に固着していることなどから、さまざまな議論がなされています。

ナミゲンゴロウこれはナミゲンゴロウ Cybister japonicus Sharp, 1873 で、秋田県のある人からいただいて飼育していたときのものです。大阪府下では絶滅種として大阪府レッドデータブックに記載されています。その他の県でも絶滅と記載されているところが多く、深刻な状況になっています。大阪府下で発見されても、採集しようとする人が殺到することが予想されるので、詳細が公表されることはないでしょうね。よく見るとオスの特徴である前脚が吸盤状になっていて、メスの背中にくっつけて離れないようにしているのが見ることが出来ます。

 

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昆虫の分類31

寒さが戻って着ました。週末まで寒いと聞いていますが、早く春になって欲しいですね。そのかわりに昆虫も害虫も活動をし始めますけど。

クロサワツブミズムシ今日もコウチュウ目のお話で、粘食亜目 Myxophaga です。日本から粘食亜目は今のところ、ツブミズムシ科 Torridincolidae のクロサワツブミズムシ Satonius kurosawai (M. Satô, 1982) ただ1種のみです(写真1)。1982年に水生甲虫をおもに研究主体としていらした佐藤正孝博士が、国立科学博物館のタマムシの研究家・黒澤良彦博士に献名したものです。ただ、新属であることが明らかになったため、Satoniusという属名が発見者の佐藤博士に献名されました。粘食亜目には本科の他に、ガムシモドキ科 Lepiceridae、デオミズムシ科 Hydroscaphidae、マルケシムシ科 Microsporidae が含まれます。マルケシムシ科も発見されているようですが、まだ新種として記載はされていないようです。

クロサワツブミズムシは渓流に住み、コケ類などを食することと非常に小さい甲虫なので、見つけにくいのです。ですからあまりお目にかかることは少ないでしょう。昆虫採集に関して非常にスキルの高い知り合いが、本種を採集したのですが、改めて脱帽した思いがあり、大阪市立自然史博物館の会報に本種が採集された記事をその方と連名で投稿したことがあります。今年はちょっと採集しに行ってこようかな。

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昆虫の分類30

今朝は会社の最寄り駅に着いたら雨が降って来ました。予報より少し早く降り始め田と思っていたのですが、よく考えれば私が知っていたのは大阪市内の予報。残念。

ヘラクレス3今日からコウチュウ目 Coleoptera のお話です。これは私の専門のグループで、世界から約37万種が記載されています。しかしここ数年の論文を見ていると、新種記載が多くて、もう少し増えてるかもしれません。約37万種という数は、すでに1990年代後半に言われていましたので。コウチュウ目は前翅が硬くなり、体を保護することによりバクテリアからの寄生を防ぐ、体からの水分の蒸散を防ぐ、さまざまな環境にもぐりこむことが出来る、などいくつもの利点を獲得して繁栄してきたと考えられています。種類が多く分類体系は細分化されていますが、それはおいおいお話しすることにします。写真1は言わなくてもお分かりになるかと思いますが、ヘラクレスオオカブト Dynastes hercules hercules (Linnaeus, 1758) で、三重県立博物館の学芸員からお聞きしましたが、Linnaeus が一番最初に記載した甲虫だそうです(Linnaeusの「Systema Naturae」の甲虫の部のトップに記載されていたから、という理由)。

ナガヒラタムシ3(小)コウチュウ目は始原亜目 Archostemata 、粘食亜目 Myxophaga、肉食亜目 Adephaga、多食亜目 Polyphaga の4亜目に分けられます。始原亜目にはナガヒラタムシなどが含まれ、粘食亜目にはツブミズムシ、肉食亜目にはオサムシやゲンゴロウ、多食亜目にはカブトムシ、クワガタムシ、カツオブシムシ、カミキリムシ、ゾウムシなどが含まれます。今日は始原亜目について少しお話を。始原亜目には日本からはナガヒラタムシ科 Cupedidae とチビナガヒラタムシ科 Micromalthidae が確認されています。その他には外国からOmmatidae、Crowsoniellidae、Julodidaeの3つをまとめたグループになります。写真2はナガヒラタムシ Tenomegra mucida (Chevrolat, 1829) です。これは以前にもお話したように、アミメカゲロウ目の翅に似ており、そこから派生したグループと考えられています。腐朽菌が発生している朽木でよく見られ、幼虫はその朽木を食べているそうです。チビナガヒラタムシ Micromalthus debilis LeConte, 1878 は大阪の小学校の木製の給食台から発生したものが発見されたことがあり、この種の幼虫も朽木を食べると考えられています。昔は木製の電柱があったので、そこから発生したとも聞いたことがあります。ユーラシア大陸からはこれらのグループの祖先と考えられる化石が多く見つかっています。他の科の標本も欲しいなぁ。

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昆虫の分類29

今朝、出かけるときは暖かかったものの、空はどんよりとしていて少し憂鬱な気分になってしまいました。気分を一新して仕事をしないといけないですね。

ラクダムシ2今日はラクダムシ目 Raphidioptera です。このグループも以前はアミメカゲロウ目に含まれていました。ヘビトンボのように前胸部が長く前方に伸長していて、ラクダのように見えることから名づけられました。ただし英語ではこちらがsnakeflies, camelneckfliesと呼ばれ、昨日お話したヘビトンボはalderflies, dobsonflies, fishfliesと呼ばれてます。日本語的にはsnakefliesはヘビトンボのような気がしますが、学生時代から少し不思議に思っていたものです。

日本からラクダムシ科 Inoceliidae とキスジラクダムシ科 Raphididae の2科確認されており、それぞれに1種ずつしかいません。すなわち日本には ラクダムシ Inocellia japonica Okamoto, 1917 とキスジラクダムシ Raphidia harmandi Navas, 1909しかいないのです。写真はラクダムシです。幼虫は樹皮下の隙間に生息し、他の昆虫の幼虫を食べます。都会ではまったく見られません。私は春のアカマツ林の中で飛翔しているのを目撃しました。この時はハルゼミ Terpnosia vacua (Olivier, 1790) の調査を行っていたのですが、取り逃がしてしまいました。この春は大師匠と共にムモンコバネ Paramartyria immaculatella Issiki, 1931などと共に採集できたらいいなと思ってます。でもこのまま暖かくなると時期が早まるのではという懸念があります。情報をしっかりと集めないと。

 

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昆虫の分類28

今日から暖かくなると言われてましたが、今朝は幾分寒さを感じませんでした。日陰に入ると寒かったですけど。

ヤマトクロスジヘビトンボ2今日はヘビトンボ目 Megaloptera(広翅目)のお話です。元々は昨日お話したアミメカゲロウ目に含められていましたが、研究者によって亜目にしたり独立した目にしたりまちまちです。ヘビトンボ目にはセンブリ科 Sialidae とヘビトンボ科 Corydalidae に分けられます。ヘビトンボ Protohermes grandis (Thunberg, 1781) は黄色い体に黒い筋が複眼の後から胸部にかけて上側方にあり、すぐにヘビトンボと見分けることが出来ます。写真はヤマトクロスジヘビトンボ Parachauliodes japonicus (MacLachlan, 1867) です。箕面山ではヘビトンボとともによく見られましたが、最近は見てないですね。

日本産のヘビトンボ目は体長が最大で40mm、開翅長100mmと大型の昆虫の部類に入ります。幼虫は渓流の水の中に棲むので、成虫はその周辺で見られます。光にも集まる習性がありますので、山の中の渓流沿いの外灯などを見て回ると見つかるでしょう。また、幼虫は「孫太郎虫」という漢方薬として利用され、疳の虫に効くとされています。メザシのように串に刺して乾燥させた後に売られているそうです。漢方薬を買った事がないので分かりませんが、今でも売っているところはあるんでしょうか。また、センブリも同様の場所に棲むので、発生が局地的な種類もあり、あまり見ることが出来ません。水に関連する昆虫が年々減少していることが悲しいですね。

素手で捕まえるときには気をつけてください。掴む場所を間違うと大変なことになります。大あごで咬んできますが、それが痛いのなんの。外国にはその大あごが伸長してキバナガヘビトンボとかオオアゴヘビトンボとか呼ばれていたような気がします。これは長すぎるので、挟まれるという感じですかね。

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昆虫の分類27

うちの子供の小学校でインフルエンザが流行っているようです。学級閉鎖や学年閉鎖となっていて、約半分の児童しかいないようです。インターネット上の情報では流行のピークは過ぎたそうですが、うちの周辺は今がピークのようですね。

アリジゴク今日のお話は、アミメカゲロウ目 Neuroptera です。以前は脈翅目と呼ばれていました。翅には多数の横脈 cross vein があり、網目状になっていることから由来しています。英語ではnet-winged insects やLacewings などと呼ばれます。幼虫はアリジゴク(写真1)が有名ですね。また、他にもクサカゲロウ類は産卵は葉っぱの裏に糸状の柄でぶら下げた卵を何個も産み付けます。これが「優曇華(うどんげ、憂曇華とも書きます)の花」と呼ばれ、不吉な前兆とされていたこともありました。

しかし、図鑑にもあまり種類は載っていないし、一ウスバカゲロウ般の方には種類までの同定は難しいでしょう。私も実際に採集しても、その場で判るものは少ないです。個体変異や斑紋変異もどれぐらいあるのか、そんなに標本も見ていないのでわかりません。写真2のウスバカゲロウ Hagenomyia micans (MacLachlan, 1875)などは、北摂山地に行けば見ることが出来ます。

アミメカゲロウの仲間には面白い形をしたものがいます。日本ではヒメカマキリモドキ Mantispa japonica MacLachlan, 1875など、カマキリによく似たものもいますし、砂漠にはアリジゴクの頸の部分が非常に長くなった種類もいます。また、成虫では後翅が体長の3倍ぐらい細長く伸びた種類もいますので、興味を持った方はインターネットや博物館などで調べてみてください。面白いですよ。

 

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昆虫の分類26

昨日は休みだったのですが、大阪市内でも雪がぱらつきました。かなり寒かったような気がします。

さて、前回のカメムシ目のお話で不完全変態群は終了しました。今回からは完全変態群のお話になります。完全変態群は卵から成虫へと成育していく過程で、蛹の時期を持ちます。蛹の時期を持つようになったのは、自分が生活する環境で、厳しい時期が来た場合に蛹でその時期をやり過ごすとか言われていますが、はっきりとはわかっていないと思います。確かにそういうことはあるかと思いますが、その他の戦略をとっている昆虫もいるので、私の意見としては複雑な要因が絡んで、そのような進化をしたものと考えています。

オオホシオナガバチ♀Beutel, R.G. et al. (2014) によると、完全変態群 Holometabola の系統樹が図示さており、最初に分岐しているのがハチ目 Hymenoptera (膜翅目)でした。一応これに沿ってお話を進めたいと思いますが、これまでの教科書ではハチ目が一番最後に紹介されていました。一番進化していると考えられているものと勝手な解釈をしていたので、最初にこの本を読んだときには少しびっくりした覚えがあります。ハチ目は広腰亜目 Symphyta と細腰亜目 Apocrita の2つに大別されます。広腰亜目はその名の通り胸部と腹部の間のくびれがなく、バッタ類のようにやや太い産卵管を持ち、植物組織に産卵しまモレンカンプオオツチバチ2す。ハバチ類などが有名です。細腰亜目は、胸部と腹部の間にくびれがあり、寄生するハチ(ヒメバチ・コマユバチなど)、狩りをするハチ(ジガバチなど)のように多様なグループに分化しています。細腰亜目の中ではスズメバチ類・ミツバチ類は身近な存在ということができ、社会性を持つ昆虫としても有名です。写真1はオオホシオナガバチ Megarhyssa praecellens (Tosquinet, 1889)で、木材に穿孔する幼虫に産卵するために産卵管が長いです。産卵管の横にあるのは産卵管鞘と呼ばれ、刀の鞘のようなもので、産卵管が折れないように保護する部分です。写真2はモーレンカンプオオツチバチです(すみません、学名を調べるのを忘れました)。東南アジアのハチで、体長が6~7cmにもなる、かなり大きなハチです。

産卵管は、おもに卵を産むためですが、社会性を持つハチ類では働きバチの産卵管は違う用途で使用されています。スズメバチ類は敵を攻撃することにも使用され、何度でも刺すことができるように、縫い針のように鋭くなっています。ミツバチ類は産卵管の先端付近が鏃(やじり)のようになっており、いったん刺すと抜けなくなってしまいます。また、社会性のハチ類は敵として認識した場合には、刺した箇所に集合フェロモンと攻撃フェロモンを分泌し、軍団で襲われるのはこのためだといわれています。日本のアリ類はそんなことはありませんが、南米のグンタイアリなどは集団で噛んで襲うため、人間でも命が危ないかもしれません。

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大阪府ペストコントロール協会創立50周年記念大会

PCO大阪50周年記念今日は少し昆虫の分類のお話はお休み。昨日は表題にあるように、大阪府ペストコントロール協会創立50周年記念大会に出席してきました。昆虫学会などと同じように、関西のPCOの重鎮が並んでいて、どこも同じやなぁと思いつつ少し緊張しながら会場にいました。当社も会員歴30年以上の企業として表彰していただきました。他にも表彰された企業様もいらっしゃったので、登壇はありませんでした。残念。

記念講演では大阪府ペストコントロール協会の名誉会長が50年の歴史を振り返り、今後の取り組みについてお話いただきました。その中には当社社長の若い頃の姿があったり、お世話になっている人の若い姿があったりと、面白く拝聴させていただきました。次の特別講演では国立感染症研究所の沢辺戦士により、セアカゴケグモの血清のお話とジカ熱のお話がありました。セアカゴケグモの血清はこれまでにオーストラリアの業者から個人輸入の扱いで、輸入した本人しか使用できないということもあり、かなりの制約がありました。そこで大阪ペストコントロール協会会員がセアカゴケグモ1万頭の採取を行い、国内での血清を作る作業の一端を担っていましたので、今回その経過報告をしていただきました。また、ジカ熱は国内感染者が確認されたこともあり、急遽差し込んでいただいたお話です。デング熱と同様にヒトスジシマカなどカ類の発生に気をつけなければならないことと、秋から冬にかけての駆除も重要になってくるとの見解でした。

今後はオリンピックなど国際的な行事が日本で開催されることもあり、輸入感染症の心配も出てくるとは思いますが、多くの皆様に安心をしていただけるように仕事に精進して行きたいと思います。

 

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